問診票入力システム審取
平成23年(行ケ)第10182号 審決取消請求事件(特許)
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決の取消しを求めた事案です。
争点は補正後の請求項1に係る発明が進歩性を有するかです。
裁判所の判断は15ページ以下。
本判決は、まず、相違点2について、「引用例3には,待合室に設置された問診システムで,患者が問診情報を入力し,入力された問診情報が問診情報データベースに登録され,ネットワーク等で診察室に送られることが記載されている。 そして,引用発明の自動問診装置が接続された院内医療情報システムと引用例3の問診システムは,いずれも病院などの医療機関に設置され,患者に自動的に問診する機能を有する点で共通する。 また,医療機関を受診する患者の待合室が外来受付に近接して設けられていること,外来受付の付近で患者が診察を待つこと,患者が外来受付の前後を含めた受診の待ち時間を待合室などで過ごすことは経験則上ごく普通にみられることであるから,外来受付に設置される引用発明の自動問診装置を,引用例の問診システムのように待合室に設置することに阻害要因は認められない」として、「相違点2は,引用発明に,引用例3に記載の技術的事項を適用することにより,容易に想到し得るもの」と判断しました。
本判決は、さらに、相違点3について、「本願の出願時(平成14年4月30日)において,携帯端末機器は周知であり,固定的に設置された端末機器に代えて,携帯端末機器を採用することにより,場所を問わずに必要な情報を入力したり,必要な情報を表示・確認したりすることが可能となることも周知であるから,固定的に設置された端末機器に代えて携帯端末機器を採用することは当業者が必要に応じて採用し得ることである。そうすると,引用発明においても入力機器を携帯型とすることに動機付けが存在するといえる」として、「乙3文献及び乙4文献の記載内容からすれば,通信機能を備え,タッチパネル式の持ち歩けるような携帯端末は周知技術であったと認められるところ,引用例4には,医療機関において,患者が利用する端末機を携帯型とすることが記載されているから,引用発明に引用例4の技術的事項を適用し,その際に周知のタッチパネル式の持ち歩けるような携帯端末を採用して相違点3の構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである」と判断しました。
容易想到性を肯定した事例として参考になります。
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