コンピューターネットワーク審取
平成23年(行ケ)第10162号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決の取消しを求めた事案です。
争点は容易推考性の存否です。
裁判所の判断は14ページ以下。
本判決は、まず、相違点4について、「一般に,ルータやアクセスポイントなどと呼ばれる,クライアントの外部ネットワークに対するアクセスを制御する機能を有する装置は,制御対象となるクライアントを個別に識別しなければ,クライアントにアクセスを提供できないから,このような装置がクライアントを個別に識別する機能を有することは,当業者にとって自明である。そして,このような装置が,クライアント間の通信量の調節などといった通信の管理のため,あるいは装置のメンテナンス等のために,個別に識別されたクライアントのアクセス開始・終了などの利用特性を追跡し,これを記録する機能(ログ機能)を通常備えていることも,当業者にとって周知であるといえる」ことから、「引用発明のネットワーク接続機器が,上記2で認定したとおり,クライアントの外部ネットワークに対する通信量の制御等を行う機能を備えた装置である以上,そのような装置が通常備える機能を有するものとするべく,上記の周知技術を適用し,モバイル無線装置とコンピュータネットワークとの間の相互対話を追跡する構成とすることは,当業者にとって適宜なし得ることである」と判断しました。
本判決は、さらに、相違点5について、「甲5公報には,基地通信局と周辺通信局との間で通信するネットワークにおいて(段落【0001】),コンピュータ,プリンタ,ファクシミリ装置,スキャナ,ビデオテープレコーダ, セットトップボックス,テレビ受像機,カムコーダ,スピーカ,デジタルカメラ, デジタル写真装置などのデータ処理装置に通信装置を組み込み,そのデータ処理装置自体が基地通信局を構成する(段落【0067】)技術が開示されている」ことから、「ネットワーク家電のように,特定用途の電子機器に通信機能を設けることは一般的に行われることであり,その際,甲5公報にも開示されているように,通信のネットワークにおける基地通信局の機能を特定用途の電子機器に組み込むことは,当業者が必要に応じて設計的になし得ることというべきである」と判断しました。
容易想到性を肯定した事例として参考になります。
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