平成22(行ケ)10268:
請求棄却
本件は、拒絶不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。
裁判所の判断は14ページ以下。
本判決は、まず、米国特許の明細書の記載を引用して、「直列接続された二次電池を充電する回路」において「各二次電池の電圧を同じにするように制御する」ことは周知の課題であることを理由として、直列接続された二次電池の充電に当たって各二次電池の電圧が同じであることがより望ましいことは、そのような充電のための回路を設計する当業者が当然に考慮すべき事項であり、従って、直列接続された二次電池の充電に当たって各二次電池の電圧が同じであることがより望ましいことは自明の課題であり、引用発明が各二次電池の電圧が同じにする制御を行っていないからといって、引用例2に記載された技術の適用が阻害されるとはいえないとし、引用発明に引用例2に記載された複数の電池要素間でエネルギーを転送する平衡回路を採用することは、当業者が容易に想到し得たことであると述べました。
本判決は、また、どのような制御も、その目的に向けてその対象の状態を把握しつつ行われるものであるから、反映するか否かを含め予測結果を制御に反映する態様を問わないのであれば、制御の目的に向けた何らかの予測を伴っているといえるのであり、その意味において、被制御要素の状態を事前に予測することは常套手段であると述べた上、各二次電池の電圧が同じであることがより望ましいとの課題に対し、上記の常套手段を用いて、各二次電池の電圧の不均衡を事前に予測可能なものとすることは、当業者が適宜想到し得たものであると判断しました。この「適宜想到し得た」という用語の意味は、単に容易に想到できたというにとどまらず、「極めて容易に想到し得た」という意味がこめられているように思われます。
本判決は、さらに、原告の主張に対する応答として、本願発明は、エネルギー貯蔵装置の分野に特有な予測結果を制御に反映する態様を特定していないのであるから、分野の違いにより被制御要素の状態を事前に予測することができなくなるという事情はないし、分野に特有な効果もないと述べています。
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