学生時代に「ローマ帝国衰亡史」を読んで以来、関心のあるテーマです。
本書は、「大国の興亡」、「21世紀の歴史」に匹敵する名著です。
本書が検討する「最強国」は、アケメネス朝ペルシャ及びアレキサンダー帝国、ローマ帝国、唐、モンゴル帝国、オランダ、明・オスマン・ムガール、イギリス、並びにアメリカです。
本書は、「最強国」といえるための条件(定義)として、①国力全般において既知のライバルをも明らかに上待っていなければならない、②軍事力、経済力において、同時代のどの国家と比べても明らかに劣ってはならない、③力を及ぼし得る範囲は、地球規模でなければならないとします。
それでは、「最強国」となるための条件は何かといえば、拍子抜けするほどシンプルで、「最強国」に上り詰める過程においては、「それぞれの時代の標準に照らして多元主義的かつ寛容」であることあり、逆に、衰退期には、「不寛容、拝外主義、純粋さへの呼びかけ」という現象が見られるとのこと(4ページ)。
その原因は、寛容であれば、その時代の優秀な人材を引きつけることができるということのようです(7ページ)。
もっとも、ここでの「寛容」は、相対的な寛容であれば良く、絶対的なものである必要はないことに留意が必要です。
この法則性の立証のため、各最強国の特徴が簡潔に描かれています(第1章から第9章)。
さて、現時点の最強国は、当然のごとくアメリカであるとされていますが、アメリカが今後も最強国であり続けるためには、移民国家アメリカの伝統と建国の理念に回帰すべきと結論付けられています(429ページ)。
日本再生のためには「寛容」の精神を発揮すべきなのかもしれません。
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