LAW and Tecnologyの51号にまねきTV最高裁判決の調査官解説が掲載されています。
1 送信可能化権の意義
送信可能化権は、自動公衆送信装置を前提とするものですから、「自動公衆送信装置」の意味を確定する必要があります。この点、本解説は、「公衆性」の有無について、行為主体との関係で判断すべきであり、装置自体の機能として、「1対多」の送信を行うものに限定されず、機械自体が、「1対1」対応している場合であっても、行為主体との関係で「公衆性」が認定される場合があるとしています。そこで、問題は、本件サービスにおける送信主体の確定となります。
2 送信主体
本解説は、自動公衆送信装置の場合には、装置設置者を主体とみることは適切ではなく、他方、受信者は、送信を「求める」ものであるから、これを主体とみることも適切ではないと述べて、送信の主体は、「自動送信装置が情報を送信することができる状態をつくり出す者をいうことになろう」と述べています。
3 他の理論構成
本件は、主体論が主戦場であったのですが、この点、本解説は、近藤弁護士の「例外規定の適用可能性を考えた方が、テレビ局とサービス提供者との利害関係を調整するためには適切な理論構成となるのではないかと思える」との見解を紹介しています。本解説は、本件は、抗弁(例外規定の適用)レベルで決着をつけるべき事例と考えているように見えます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます