知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

ロクラクⅡ最高裁判決調査官解説を読む

2011-03-22 14:02:51 | 著作権

1 Law and Technology 51号にロクラクⅡ最高裁判決の調査官解説が掲載されています。

調査官とは、最高裁判事が判決を下す際に法律的調査を行うことが職務であり、その解説は、最高裁判決の射程範囲等を考える際の重要な資料になっています。

2 判決の射程範囲

この解説では、本判決の射程範囲が「判決設定事例」に限定されることが強調されています。「判決設定事例」とは、「放送番組等の複製物を取得することを可能とする者が、その管理、支配下において、テレビアンテナで受信していた放送を複製の機能を有する機器に入力していて、当該機器に録画の指示がされるという放送番組等の複製が自動的に行われる場合」です。

また、判決設定事例以外の場合において、どのようなときに、「サービス提供者が」著作物を取得してこれをサーバーに伝達していると評価できるかについては、極めて慎重な考慮が必要とされようと述べています。

 3 実質論

放送番組の転送サービスが誰のどのような利益を害するのかに関連して、放送番組等については、受信地域の制限があり、本件のようなサービスによって、受信地域外の人(本件サービス等が存在しなければ、放送番組等という著作物にアクセスできない人)が、その著作物の複製物を取得することが可能となることが、(注8)に述べられています。この点は、書籍PDF化代行サービスの適法性を検討するに際して重要な視点といえます。

 


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