積層材料審取
平成23年(行ケ)10022
請求認容
本件は拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。
争点は容易想到性
裁判所の判断は14ページ以下
本判決は、まず、引用発明1には、ウェブのアルミ箔に代えて、他の材料を使用することに関する記載や示唆はなく、また、引用例2にも、金属蒸着ポリプロピレンフィルムを高周波誘電加熱に用いることについて何の記載もないと述べた上、引用発明1の「アルミ溶層」を適用することについて動機付けはないと判断しました。
また、被告の主張に対して、例えどのような導電性層であっても必ず高周波誘導加熱により発熱する発熱層とすることができるといった技術常識が存在していたと認めるに足る証拠はないと判断しました。
動機付けを精密に判断する近時の裁判所の傾向からすると、進歩性欠如を主張する側の代理人には高度の調査能力、判断能力(例:このような公知例・技術常識があるはずという判断)と動機付けを構築する能力が求められることになり、代理人の腕が結論を左右するようになっていくと思われます。また、侵害訴訟のプレッシャーのない特許庁は、審査・審判ともに、今後ますます進歩性欠如を認めない方向に流れるでしょう。
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