知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

画像印刷装置審取

2011-12-05 06:11:44 | 最新知財裁判例

画像印刷装置審取

平成23年(行ケ)10408

請求認容

本件は拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。

争点は引用発明の認定です。

裁判所の判断は18ページ以下

本判決は、引用発明の認定について、以下のとおり、本件補正発明との対比においてなされるべきものであると指摘しています。

「本件補正発明の「撮影処理」は、単に撮影することを意味するものではなく、撮影/落書き人数の選択、編集対象画像の明るさ調整、編集対象画像の選択等、撮影に関連する一連の処理を意味することなどからすると、本件補正発明と引用発明との対比においては、引用発明において、撮影開始ボタンが操作されてから(ステップS5)、撮影終了ボタンが操作されるまで(ステップS13)の一連の処理が、本件補正発明の「撮影処理」に相当し、撮影終了ボタンが操作された後、操作パネルに落書き画面を表示して、選択された処理を実行する処理(ステップS14)が、本件補正発明の「編集処理」に相当するものであると認めるのが相当である。この点に関し、引用例((0052))には、「(フレームバッファの)第2の領域は、落書き処理や明るさ調整などの編集処理において使用される記憶領域であり、・・・」と、明るさ調整(ステップS8)が編成処理に当たるとする記載もあるが、前記のとおり、本件補正発明の進歩性の有無を判断する前提として、本件補正発明と引用発明を対比した場合には、引用発明における明るさ調整は、本件補正発明の「撮影処理」に相当する一連の処理(ステップS5からステップS13)に含まれるものと認めるのが相当であり、引用例の記載上では、明るさ調整は編集処理と位置付けられているとしても、その記載により直ちにこの明るさ調整が本件補正発明の「編集処理」に相当するものと認めることはできない」。

本判決は、引用発明を認定する場合、引用発明の字句にとらわれるのではなく、本件補正発明との対比において引用発明の技術概念を把握することの必要性を示すものとして参考になる事例です。

 


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