封筒審取
封筒審取
平成23年(行ケ)第10058号
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。
裁判所の判断は16ページ以下
本判決は、容易想到性の判断に関し、まず、引用例1記載の技術事項について、「引用例1には、前記1(2)ア、ウ及びオに認定のとおり、課題解決のための従来技術の例として構成素材に再生紙が使用される場合に言及し、フラップ又はフラップが被さる部分に、再湿糊(アラビア糊)の塗布面を設けておいてもよい旨の記載があるほか、部材を説明するに当たり「紙面」との文言を使用している部分があるから、そこに記載の封筒が専ら紙製のものであるとみる余地もないではない。他方で、引用例1には、その他に封筒の材質について明確に言及した部分がなく、むしろ、前記1(2)ウに認定のとおり、フラップ又はフラップが被さる部分に加圧接着性のゴム系接着剤の塗布面を設けておいたり、剥離紙付きのテープタックやファインタックを設けておいてもよい旨の記載がある。そして、これらの接着手段が使用される封筒は、紙製のものに限られないことに鑑みると、引用例1に記載の発明が紙以外の材質によることは、何ら排除されていないとみるのが自然である。したがって、引用例1の記載によれば、そこに記載の発明の材質について、紙であると限定するのは困難であって、むしろ明らかではない(本件審決の認定に係る相違点1)というのが相当である」と述べた上で、封筒の材質を紙以外のもの(例えば樹脂製)とすることの動機付けに関し、「引用例1には、前記1(2)ウに認定のとおり、紙製ではない封筒にも使用できるフラップの接着手段の使用についての記載があるから、そこに開示された技術的思想を紙製ではない封筒に用いることについて動機付けがある。しかも、紙製ではない封筒(例えば樹脂製)が存在することは、周知例1ないし3を待つまでもなく当業者に顕著に周知であるから、引用例1に接した当業者は、そこに記載の封筒の材質を紙以外のもの(例えば樹脂製)とすることについて容易に想到することができたというべきである」と判断しました。
本判決は、動機付けが肯定される例を示したものとして参考になります。
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