権利制限の一般規定に関する報告書が出ている。提案されているのは包括規定ではなく、米国のフェアユースに比較すると狭い。具体的には、映り込みなどをカバーするA案(実質的違法性欠如)、キャラクター商品の企画書などをカバーするB案(中間段階の利用)、ネットワーク上のサービス提供等をカバーするC案(著作物の表現を享受するためのものといえない利用)である。もっとも、日本法の下では、著作権の権利行使を権利濫用法理という一般法理により制限できる(その反射的効果として著作物の利用は適法となる)ので、実質、米国法に相当する権利制限が可能ではないか。少なくとも著作権者に実質的損害がない場合には、差止めも損害賠償も認められないはず。フェアユース規定のような一般的包括的条項が制定されると、著作権が軽視されるという指摘にも現状では合理性がないとはいえず、当職は、この線で研究を進めたいと考えている。なお、同一性保持権等の著作者人格権については、状況に応じて限定解釈がなされるべきと思う。
goo blog おすすめ
最新記事
- 職務発明規程改訂オンラインセミナー
- 知財特別セミナー~FC2対ドワンゴ訴訟の深層~
- 無料:職務発明規程改訂オンラインセミナーのご案内
- 無料:職務発明規程改訂オンラインセミナーのご案内
- 「非技術的要素を含む発明の進歩性判断」知財ぷりずむVol. 21 No. 242(2022年11月号)
- 「ソーシャルゲームにおける法的諸問題 (4)」知財ぷりずむVol. 21 No. 241(2022年10月号)
- 「特許ノウハウライセンス契約の法的分析(3)」知財ぷりずむVol. 19 No. 228(2022年9月号)
- 「進歩性に関する近時の裁判例(Ⅸ)」知財ぷりずむ Vol. 20 No. 239(2022年8月号)
- 「進歩性に関する近時の裁判例(Ⅷ)」知財ぷりずむVol. 20 No. 238(2022年7月号)
- 派遣社員による職務発明についての一考察
カテゴリー
- 不法行為(3)
- 震災(87)
- セミナー(4)
- 審決取消請求事件(5)
- 論考(46)
- ソーシャルネットワーク(2)
- バナー(5)
- 知的財産権訴訟(30)
- 意匠法(8)
- 読書(62)
- 法曹養成制度(9)
- 最新知財裁判例(418)
- 特許法改正(18)
- 特許権(14)
- 著作権(38)
- 将棋(3)
- 職務発明(55)
- 不正競争防止法(16)
- 能力担保研修・特定侵害訴訟代理試験(8)
- 知的財産管理検定(1)
- M&A(11)
- 不動産法(4)
- 会社法(29)
- 知的財産法(3)
- 契約紛争(8)
- 流動化・証券化(7)
- 映画(2)
- 金商法(2)
- 記載要件裁判例(2)
- 法と経済学(1)
- 最高裁判例(知財以外)(7)
- 知的財産制度(9)
- 競争法(5)
- 特許侵害訴訟(24)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます