知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

フェアユース

2011-01-02 19:21:04 | 著作権
権利制限の一般規定に関する報告書が出ている。提案されているのは包括規定ではなく、米国のフェアユースに比較すると狭い。具体的には、映り込みなどをカバーするA案(実質的違法性欠如)、キャラクター商品の企画書などをカバーするB案(中間段階の利用)、ネットワーク上のサービス提供等をカバーするC案(著作物の表現を享受するためのものといえない利用)である。もっとも、日本法の下では、著作権の権利行使を権利濫用法理という一般法理により制限できる(その反射的効果として著作物の利用は適法となる)ので、実質、米国法に相当する権利制限が可能ではないか。少なくとも著作権者に実質的損害がない場合には、差止めも損害賠償も認められないはず。フェアユース規定のような一般的包括的条項が制定されると、著作権が軽視されるという指摘にも現状では合理性がないとはいえず、当職は、この線で研究を進めたいと考えている。なお、同一性保持権等の著作者人格権については、状況に応じて限定解釈がなされるべきと思う。

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