知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

マッサージ器審取

2011-12-14 18:27:50 | 最新知財裁判例

マッサージ器審取

平成22年(行ケ)第10398号 審決取消請求事件

請求棄却

裁判所の判断は13ページ以下。

本件は無効審判不成立審決に対して取消を求めるものです。

争点は容易想到性です。

本判決は、まず、本件特許出願当時,脚又は足を支持する手段を分割する構成及び脚に複数のマッサージ具を分割して配置する構成は周知の技術であったとしつつ、「引用例2ないし5並びに周知例1及び2自体は,椅子,乗物用座席あるいはベッド式椅子等に関するものであり,その脚又は足を支持する手段を分割する構成は,使用者の脚の長さ等に合わせて脚の希望する部分をマッサージするという本件発明と共通の課題に基づくものではないから,引用発明に上記各周知技術を適用することにより,引用発明の足受部を分割し,分割された足受部にそれぞれマッサージ機能を備えた構成とすることが,当業者にとって,容易に想到し得るものであるとまではいい難い」と判断しました。これは、容易想到性のうち、容易性を否定したものといえます。

本判決は、さらに、相違部分②及び③に係る構成については、「引用例2ないし5並びに周知例1及び2のいずれにおいても開示されておらず,これらの引用例及び周知例から, 本件発明の上記構成が周知技術に属するものと認めることはできないし,この構成が公知であったと認めることもできない」と判断しました。これは、 容易想到性のうち、想到性を否定したものといえます。

本判決は また,「本件発明は,上記構成を採用することにより,座部に対して上下揺動自在なものとして連結されている固定フレームを所望の角度にした状態で,第一フットレスト部及び第二フットレスト部について,それぞれ個別にその位置を調整することが可能となり,その結果,使用者の脚の長さ等に合わせて使用者の脚の希望する部分をフットレストのマッサージ具で良好にマッサージすることが可能になるという格別の効果を奏するものであ」ることを理由として,相違部分②及び③に係る本件発明の構成が設計事項であることを否定しました。この点は、「格別の作用効果を有するか否か」が設計事項か否かの判断要素の一つとなり得ることを示すものといえます。なお、本判決は、「格別の作用効果を有すること」が進歩性を直接基礎づけると判断したものではないことに注意が必要でしょう。


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