1 余震リスク
企業は、従業員の安全に配慮する義務を負っているから、余震リスク等に対して、耐震性の点検、非常用品の備置、非常時マニュアルの周知徹底等の対応が必要である。特に、会社に出社することが危険性を伴うことが予想される場合に備えて、「出社不要命令」の発令に関する手順等を決めておくべきである。
2 精神面のケア
この点は目に見えない問題だが、3.11から1ヶ月超が経過し、日々緊張を強いられる中で、従業員には相当のストレスがかかっているはずであり、GWによりその緊張感が緩んだため、そのストレスがうつ状態をまねくことが予想される。従って、業務を再開する前に、ストレスチェックを行うことが必要である。
3 解雇
被災のため事業の継続が不可能になった場合には、従業員を解雇することもやむを得ない。もっとも、解雇が適法か否かは、、①解雇の必要性、②配置転換等の他の手段がないか、③解雇される人の人選の適切性、④協議、説明等の手続きを踏んでいるか、という4つの要素を考慮して判断されるので、注意が必要である。
4 計画停電と休業手当
計画停電の時間帯は休業手当の支払は不要である。また、計画停電に備えて自宅待機を命じていたが、結果として計画停電が実施されなかった場合も、企業のコントロール不能な事態による休業であるから、休業手当の支払いは不要である。さらに、一日の一部の時間帯が計画停電になる場合であっても、システムの立上げ等に時間を要する場合には、休日とすることが合理的であり、この場合も休業手当を支払う必要がない。これらの場合、従業員としては、原賠法に基づき東電に賠償を求めていくことになる。
5 供給義務
今回の震災に起因して工場の稼働ができず、製品の供給ができない場合、それは不可抗力によるものであるから、企業は責任を負わない。相手方企業は、原賠法に基づき東電に賠償を求めていくことになる。もっとも、企業としては、事前に通知することにより相手方企業の損害を最小限に食い止める義務があるし、また、調達先を探す義務があるといえる。
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