特許法改正案は、請求項単位の訂正の可否に関して、平成20年判決が抱えていた訂正請求と訂正審判との間の齟齬の問題と明細書等の一覧性の欠如の問題を立法的に解決しました。
まず、訂正審判について、請求項毎に行うことができることを原則としつつ、従属項等から構成される一群の請求項(経済産業省令にて規定)については、一群の請求項毎に行うべきものと規定しています(特許法126条3項、4項)。これは、訂正請求についても同様です(改正法134条の2第2項、3項)。この「一群の請求項」という概念の導入により明細書等の一覧性欠如の問題が発生しないように手当てされると思われます。
また、無効審判が請求項毎に可能であることの関係で解釈論上の疑義が生じていた審決の確定範囲について、立法的に解決を図りました(改正法167条の2)。すなわち、審決は審判事件毎に確定することを原則としつつ(改正法167条の2柱書き)、例外的に、訂正請求及び訂正審判が一群の請求毎になされた場合には、一群の請求毎に確定し(同条1号、2号)、無効審判及び訂正審判等において請求項毎に請求がなされた場合には、請求毎に確定する(同条3号)と規定されています。
なお、訂正請求の取り下げについては、改正法134条の2第7項、8項に規定されています。
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