平成22年(行ケ)10034:4部
請求認容
本件は無効審判不成立の審決取消を認めたものです。
分割要件違反について、「特許請求の範囲が、作用効果を奏さない構成を含むからといって、必ずしも常に分割要件を欠くものということはできない」と述べています。作用効果の特許性との関係という観点からも注目されるべき判示です。
引用発明に周知技術を適用することは容易であると述べられています。ここでは、周知技術であるということ以外には、動機づけの基礎づけ事実については言及がないようにみえます。しかし、原告の主張に対する応答の部分をみると、引用発明と周知例とは、産業用ロボットにおいて普遍的な課題というべき省スペース化や可動範囲の拡大を目的とするものであることに言及されており、この点が、動機づけの基礎づけ事実になっていると推測されます。なお、本件発明の課題も同様であることが示されていますが、これは念押しの理由づけでしょう。
また、ハンド部の伸縮方向については、「設計事項」にすぎないと述べられていますが、その理由は、それが本件発明の課題から当然導かれる構成であるからではないかと思われます。
本件は、同日に下された判決の関連事件であり、併せて検討すると得るものが多いと思われます。
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