技術的範囲の解釈と当てはめ
1 3ステップ及び侵害類型
1―1 3ステップ
属否論とは、特許発明の技術的範囲に対象製品が属するか否かという議論である。この判断は、以下の3ステップにより実施される。
① 特許請求の範囲を構成要件に分説
② 被告製品の構成の分説
③ 対比
1-2 侵害類型
侵害類型は、まず、直接侵害と間接侵害に分かれる。間接侵害については応用編で扱う。
直接侵害は、文言侵害と均等侵害に分かれる[1]。
2 文言侵害
2-1 「用語」の解釈
2-1-1 解釈の手法
対比のためには、構成要件中の「用語」を解釈する必要がある。かかる解釈は、以下の事情を参酌して行う。
(a) 文言の有する通常の意味
(b) 技術常識
(c) 明細書の記載
(d) 出願経過
構成要件中の「用語」の解釈は、特許訴訟における最重要論点の一つである。なぜなら、構成要件中の「用語」の意味が明瞭であり、解釈が問題とならないようなケースであれば、訴訟になる確率が低いからである。逆にいえば、構成要件中の「用語」の意味が不明瞭であり、当事者間で解釈が分かれる場合に、第三者である裁判所の判断を仰ぐために特許訴訟が提起されるという整理もできる。
2-1-2 裁判例の検討の重要性
このように、構成要件中の「用語」の解釈[3]は、特許訴訟における最重要論点の一つであるが、その判断は、上記(a)ないし(d)の事情を総合考慮して行うものであり、その習得は容易ではない。現時点でもっとも有効な習得方法は、公表されている裁判例(及び特許発明の明細書)を検討し、裁判官がどのような手法により構成要件中の「用語」を解釈しているかを分析することであろう
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