レーザー材料加工装置審取
平成22年(行ケ)第10282号
請求認容
本件は無効不服審判成立審決に対して取消を求めるものです。
裁判所の判断は32ページ以下
本判決は、まず、相違点1に関し、審決が、「『ディスク状』の『液体供給空間』それ自体は、甲第13、14号証にみられるごとく周知である」と判断したのに対し、本件訂正発明1と甲13,14とは技術分野・機序が相違している上、甲13,14には、「ディスク状」の「液体供給空間」は開示されていないと判断しました。
次に、相違点2に関し、審決が、「不都合の原因が判明した場合に、それを除去することは当然であり、『熱レンズ』は、液体にレーザービームのエネルギーが供給され続けることにより生じる。よって、『熱レンズの形成』を抑制する手段として、レーザービームが透過する範囲において、液体がよどむことなく流れるという『思想』は、当業者がごく自然に想到しうるものである」と判断したのに対し、「「熱レンズ」は液体にレーザービームのエネルギーが供給され続けることによって生じることが解明されたとしても、原因が判明した場合にそれを除去する解決手段は1つに限定されるものではなく、「液体がよどむことなく流れるようにする」という解決手段を含め、エネルギーの供給が継続する場合の解決手段には、例えば、レーザーの種類と液体の種類の組合せとしてエネルギー吸収能の低い組合せを用いてエネルギー吸収そのものを抑止するなど、複数の解決手段があり得るところである。ましてや、本件では、主引用例である甲1発明は、液体を「準停留状態」にすることによって所定の課題を解決する発明と認められるから、甲1発明を基礎としながら、「準停留状態」とは着想の異なる「液体がよどむことなく流れる」との思想に想到するためには発想の転換が必要というべきである」と判断しました。
本判決は、進歩性欠如のためのロジックは慎重かつ繊細に構築することが必要であることを示唆するものとして参考になります。」
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