上場会社を対象とする全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトの取引としての公正性は、全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトにより得られる社会的利益(主として企業価値の向上)が少数株主の喪失する利益を凌駕するか否かにより判断すべきであり、その判断に際しては、上場会社を対象とする全部取得条項付種類株主を利用したスクイーズ・アウトにより少数株主が喪失する利益よりも、それにより得られる社会的利益(主として企業価値の向上)にウエイトを置くべきであって、a)得られる社会的利益(主として企業価値の向上)の判断については、株主総会の手続が適正を欠くものであったとか、判断の前提とされた事実が実際には存在しなかったり、虚偽であったなど、判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り、株主の判断を尊重すべきであり、当該判断が尊重されるべき程度は、株主の判断の正当性の程度によるところ、それは、当該判断に賛成した株主の数及び保有割合、取引に関する開示の程度、株主総会における議論の状況等に加え、判断に賛成した株主の数及び保有割合、取引に関する開示の程度、株主総会における議論の状況等に加え、対象者が表明する意見の内容及びプロセスを踏まえて総合考慮するべきであり、他方、b) 少数株主が喪失する利益の判断については、応募に応じない株主の数及び保有株式割合並びに買付価格と対象者の株式の公正価格との乖離等とを総合考慮するべきであり、対象者の株式の公正価格との乖離については、買付価格と対象者の株式の公正価格との乖離が明らかである場合を除き、買付価格の決定プロセスの公正性(手続的公正性)を重視することになる。
そして、スクイーズアウトに賛成する株主の頭数及び議決権割合を高めるためには、先行する公開買付けにおいて、買付者ができる限り多くの株式を買い付けることが最も有効な手段であり、かかる観点に照らせば、TOB価格が高ければ高いほど、スクイーズアウトの公正性が否定されるリスクが軽減されることになる。
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