平成22(行ケ)10213:1部
請求棄却
本件は拒絶不服審判不成立審決について取消を求めるものです。争点は引用例1及び引用例2から本願発明が容易に想到できるか否かです。
本判決は、まず、審決の相違点1の認定に誤りがあるとしましたが、それは結論に影響を及ぼすものではないとしました。
本判決は、次に、本願発明において、靴底整形材料として熱可塑性樹脂を使用することの技術的意義は見い出せないことを理由として、引用発明において、ポリウレタンを主成分とする靴底整形材料を熱可塑性樹脂を主成分とする靴底整形材料とすることは、当業者(その発明の属する分野において通常の技術を有する者)が適宜なし得る設計的事項にすぎないと判断しました。
ここで、当業者の後に、あえて、括弧書きを入れていることには深遠な意味があるのでしょうか。「当業者」概念の再検討の必要性を示唆しているかもしれません。また、「設計的事項」という判断の裏には、整形材料として樹脂が利用されることが技術常識であることがあるように思います。
本判決は、さらに、「接合に使用されなかった熱融着フィルムの上部をはぎ取る」ことについては、靴の外観をはぎ取るという自明の課題を解決するために行われるものであり、当然考慮すべき技術事項であると判断しました。
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