JUNSKY blog 2015

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シリアナ SYRIANA

2006-03-12 00:01:00 | 映画レビュー
今夜(3/11)、話題のシリアナを見た。

中東でのアメリカの石油利権を独占するために石油資本の意向を請けて暗躍するアメリカCIA。
CIAエージェントであったロバート・ベアの暴露本「CIAは何をしていた?」(新潮文庫)を原作としてS・ギャガンが脚本・演出(公式ホームページより)。
CIA工作員の介在スキャンダルが発覚しかけると苦も無く工作員を消す指示を出すCAI高官。
特に、国内での正当な議会設立と女性の権利を拡大し、アメリカから自立した国に改革しようとする王子(兄)と、アメリカの挑発と懐柔に載ってしまった王子(弟)。その弟を王位後継者としたアメリカ贔屓の国王の確執。
自主独立派の兄王子は将軍達を説得し、11人中9人の支持を獲得。王位奪取を計画。
これを知ったCIAは衛星監視システムを使って上空から暗殺。

アメリカの支配に反対する一部勢力は純真な青年に近づき、聖なる殉職を教育。
純真無垢で宗教的信念の強い自爆テロリストを養成する。

時代背景は9・11後であるから、まさに今現代が舞台。

映画そのものは、人々の相関図が予備知識としてないので、なかなか解りづらいところがある。
そのうえCIA工作が味方のふりして裏切るのも当たり前なのでよけいに関係を解り難くしている。
もう一回見なければ解らないところもまだある。

自分達の(アメリカ国家のではなく)利権のためには何でもやる石油資本上層部と、その意図で動いているアメリカ政府とCIAの実態が、アメリカ映画(WB)で明らかにされるところがハリウッドの面白いところ。
午後9時からの上映。観客30人弱。


ミュンヘン

2006-03-06 00:00:00 | 映画レビュー
ミュンヘン・オリンピックの選手村をテロリストが襲い選手団を人質に取り逃走途中の空港で殺害。
この人質殺害にいたる経過は、映画の進行に従って、主人公のフラッシュバックと言う形で徐々に説明され、映画終了間際に全貌が明らかになる。
主人公をチームリーダーとするテロリスト11人を暗殺する主人公も含み5名のプロジェクトチームが結成されるが、その道の凄腕のプロフェッショナルとは言い難い寄せ集め。
主人公は当初は戸惑いながらも残虐な殺害方法を次々と展開。
この映画のテーマである、「テロリストを暗殺しても『より過激な後継者』が次々と現れる。永久に暗殺をし続けるのか?」という問いは、11人のうち7人まで暗殺した映画の最終盤にならないと出てこない。
暗殺を指示したイスラエルモサドの幹部に「(暗殺するのではなく)逮捕して裁くべきだ」と主人公は言うが決裂。
この場面からすぐに、ミュンヘン事件の首謀者を含む9人まで暗殺されたと字幕が出て幕を閉じる。
その後、スタッフ・キャストのクレジットが一眠りできるほど長々と続いた。
午後8時からの上映であったが、聴衆10名ほど。

ジャーヘッド

2006-03-04 02:30:00 | 映画レビュー
普通の若者がいかに戦闘マシーンに改造されてゆくか?
10年前位かにも海兵隊の人間洗脳過程を描いた映画があったが、似ているところもある。あの映画の題名は忘れてしまった。
大きな戦闘が何も起こらないまま、湾岸戦争に借り出される戦闘員の数が次々に増えてゆくさまを字幕で、何日目何千人→何日目何万人と次々に表現される。
米軍機らしき攻撃機にアメリカ兵が機銃掃射される場面など誤爆シーンもある。
その誤爆攻撃後、敵陣(もしかしたら見方の米軍の陣地かも)を確認に行くと、爆撃での焼死した夥しい数の死体や焼け爛れた戦闘車輌。
映画の最後の方は、油田を爆破して(米軍の仕業?イラクの仕業?)濛々と上がった煙雲から油の雨が降ってくる。
イラク湾岸戦争が、そして今も戦火を交えているイラク戦争が、石油利権のためにアメリカがけしかけた無謀な戦争であることを解り易く物語っている。


単騎千里を走る

2006-03-04 02:00:00 | 映画レビュー
この金曜日が最終日だったので、仕事が終わってから見に行った。
雄大な山々と暖かい人々との交流物語であった。
言葉が全く通じない中での擬似親子体験を通じて実の親子の絆を考えさせる。
初恋の来た道(現代:私の父母)のチャン・イー・モウ監督。
高倉健が年齢相応のいい味を出していた。

PROMISE

2006-02-12 23:42:41 | 映画レビュー
公開日の11日土曜日、映画「PROMISE」を見た。
『真田広之が全編中国語を吹き替え無しで演じている』と各局のインタビューで取上げていたので注目したが、その『吹き替え無し』を除いては、全くの駄作。
筋立てもイマイチだし、ワイヤーアクションやCGはいかにもと言う感じでリアルではない。
さりげなくCGを活用する(3丁目の夕日みたいに)のではなく、まるまる見えみえのCG、笑ってしまうようなワイヤーアクション。
必要性の感じない無駄な動き(ワイヤーアクション)など、金は掛かっていそうだが活かせていない。
中国人民軍が800名動員されたということであるが、人海戦術はさすがだとしてもあまり顔のみえてこない群集処理で・・・
「HERO」や「LOVERS」も見たが(これらもいかにものワイヤーアクションが少なくなかったが)、3番煎じ(中国ではもっとたくさん制作されているかもしれないが)の感を否めない上に、前2作と比べても相当レベルが低い。
かといって、「反戦」メッセージが根底にある訳でも無しで・・・
また間も無く次の中国作品も上映されるようで。

スタンド・アップ

2006-02-05 00:23:29 | 映画レビュー
原題は「North Country」北国である。
DV(暴力夫)から逃れて北部の実家に帰るジョージ(女性)。
父も働いている鉱山で働き始めるが、周囲の目は冷たく父母も理解を示さない。
職場には労働組合があるが、組合員からも女が男の職場を奪っていると言う口実で強烈な差別とセクハラ(この頃はまだセクシャルハラスメントという用語もなかっただろうが)。
これにジョージは果敢に闘いを挑むが・・・
職場に居る数少ない女性もジョージに同情はしながらもますます事態が悪化するのをおそれ声が低くなってゆく。
組合の大会で発言を求めるが男たちからの冷かしと野次轟々。
その中で父親が発言させるよう助け舟を出す。
セクハラ裁判を起こそうとするジョージに賛同する同僚もなく・・・

こういう状況で自らのプライバシーも暴かれながら闘いを続ける人々が居たからこそ【セクハラ】が犯罪として裁かれる世の中に徐々に変わったきたのであろう。
最初に闘いに挑む孤独と困難と、これを超える意思の強さと不屈さを教える映画であった。
闘いなくして勝利無し。これを示す貴重な実話映画である。

フライトプラン

2006-01-29 02:59:41 | 映画レビュー
大型最新旅客機のなかで1万メートルの上空で6才の娘が行方不明になる。
ジョディ・フォスターがいい味を出して、正常なのかエキセントリックなのか、乗り合わせた乗客にも映画の観客にも解らない女性心理を表現している。
娘は搭乗していなかったのか(搭乗記録も無い)?
航空機を緊急着陸せざるを得ない事態にしてまで機内で娘を探し回るこの母親はやはり異常に見える。
最後のどんでん返しで母親の強さと愛を表現しきっている。

博士の愛した数式

2006-01-29 02:50:59 | 映画レビュー
この映画は哲学である。
http://hakase-movie.com/
数学と哲学が一体となって進めてゆくという感じ。
激しい音も映像もなくたんたんと進んでゆく。
寺尾聰ふんする博士は記憶が80分しかもたない。
お手伝いさん杏子役の深津絵里は毎日同じ自己紹介をする。
その子供は博士にルート君と名付けられるが大人になって数学の教師に。
その数学の教師(吉岡秀隆)として生徒たちに数学の魅力を話すことから回想が始まる。
私もこういう教え方をしてほしかった。その当時は受験数学だったと思う。

この映画、登場人物に名前がない。
唯一、深津絵里扮するお手伝いさんが「杏子」というらしいが(解説による)映画の中では「お手伝いさん」と呼ばれていた。
その息子は上に書いたようにルート君のニックネーム。大人になってもルート先生。
博士の義姉役の浅丘ルリ子扮する女性は「未亡人」。

博士は10年前の交通事故で、それ以前の記憶は完璧だが、その後の記憶は80分しかもたない。
ということは、未亡人は10年・年老いているわけで、記憶では10年前の若い未亡人が毎朝毎日年老いた姿で現れることになる。朝会うと急に10年ばかり昨日より年老いているということなのだ。
生きる、老いるを考えさせる映画だ。

感動的で奥深いそして哲学的な作品だった。

THE 有頂天ホテル

2006-01-24 18:25:12 | 映画レビュー
先の日曜日に「THE 有頂天ホテル」を見た。
戸田恵子はいい。
近藤芳正も出てる。
三谷組総出演
+香取信吾がアピールポイント?
しかし、内容は「グランドホテル形式」の作劇だそうだが、「もうひとつ」という感が強い。
大晦日から新年「年越し」に至る数時間が舞台だけに、ひと月遅れの感が否めない。
台本or制作が遅れたのだろうか?
ドラマとしても駄作のように思えた。
有力な役者総出演にしては内容が軽すぎる。
メッセージ性皆無(読みきれなかっただけか?)?
面白さも底が割れてる感じで心底笑えない。
「三谷さんどうしたんだろう」という雰囲気
メッセージ性が強くて且つ面白かった「笑いの大学」を作った人とは思えない位。

2006Jan24