の名誉毀損訴訟で
沖縄戦で集団自決に関与したとされる旧・日本軍のの元少佐らが、
大江健三郎さんの著書「沖縄ノート」に名誉毀損にあたる表現があると訴訟を起こしていた控訴審において大阪高等裁判所は、
【小田耕治裁判長は「集団自決への軍の関与は否定できない」としたうえで、「元少佐らの命令があったとは断定できないが、真実と信じる相当の理由はあった」と述べ、名誉棄損の成立を認めなかった1審・大阪地裁判決を支持、原告側の控訴を棄却した。】(讀賣新聞)
「沖縄ノート」巡る名誉棄損訴訟、元少佐らの控訴棄却…大阪高裁 (読売新聞) - goo ニュース
大阪高裁も「軍が深く関与」 集団自決、大江さんら勝訴(共同通信) - goo ニュース
大江健三郎さん「沖縄の犠牲の記憶を守り、戦う」
(朝日新聞) - goo ニュース
高裁判決についてのコメント 大江健三郎
朝日新聞 2008年10月31日16時27分
ベルリン自由大学での講義のためにベルリンに滞在しており、判決を直接聞くことができませんでした。いま、私たちの主張が認められたことを喜びます。私が38年前にこの『沖縄ノート』を書いたのは、日本の近代化の歴史において、沖縄の人々が荷わされた多様な犠牲を認識し、その責任をあきらかに自覚するために、でした。沖縄戦で渡嘉敷島・座間味島で七百人の島民が、軍の関与によって(私はそれを、次つぎに示された新しい証言をつうじて限りなく強制に近い関与と考えています)集団死をとげたことは、沖縄の人々の犠牲の典型です。それを本土の私らはよく記憶しているか、それを自分をふくめ同時代の日本人に問いかける仕方で、私はこの本を書きました。
私のこの裁判に向けての基本態度は、いまも読み続けられている『沖縄ノート』を守る、という一作家のねがいです。原告側は、裁判の政治的目的を明言しています。それは「国に殉ずる死」「美しい尊厳死」と、この悲惨な犠牲を言いくるめ、ナショナルな氣運を復興させることです。
私はそれと戦うことを、もう残り少ない人生の時、また作家としての仕事の、中心におく所存です。
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