2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」のコラムを引用します。
今日はコピペで御免なさい。
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マスメディア時評
木に縁(よ)りて魚を求むの愚
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民主党と自民党が相次いで党大会を開きました。各新聞の報道では、とくに民主党について、「与党との違い示せるか」(「読売」十七日付)、「安倍vs小沢 決め技欠き」(「毎日」同)などのように、自民党との「対抗軸」を示せなかったというきびしい評価がほとんどです。
真の“対決軸”は
東京で発行されている各新聞の社説(十七日付、「毎日」は十八日付)を見ても、「朝日」や「毎日」、「東京」は、「自民対民主 目をそらさずぶつかり合え」(「毎日」)、「民主党 逃げずに真っ向勝負を」(「東京」)などと、民主党に自民党との「対抗軸」を求める立場から、民主党について論じています。逆に、「読売」や「日経」、「産経」は、民主党に“対決”よりも同調を求める立場で、「『対決』だけでは信頼は得られない」(「読売」)、「民主党は政策で勝負せよ」(「日経」)、「野党共闘優先でよいのか」(「産経」)と主張しています。
これらの新聞が民主党に自民党との“対決”を求めるのも、逆に自民党へのいっそうの同調を迫るのも、民主党に明白な「対抗軸」がないことの反映ですが、マスメディアに求められるのは、まず正しい事実を伝え、国民・読者に選択肢を提供することです。自民か、民主かと、「二大政党」の枠からだけ見るのではなく、改憲にせよ、「構造改革」にせよ、国民にとっての重要問題で各党の態度はどうか、その違いはどこにあるのか、問題のほんとうの対決軸は何かなど、国民に判断材料を提供することこそ、マスメディアの使命です。
いま国政の重大問題になっている改憲でも消費税増税でも、民主党が自民党に対しはっきりした「対抗軸」を持たないのは明白です。それを承知で「対決」をいうだけでは、民主党への間違った“期待”をあおり、国民・読者を誤った方向に導くことにしかなりません。
「朝日」の異常さ
そうしたなかでも「朝日」の社説は異様です。「民主党 菅氏で首都決戦を挑め」と、民主党代表代行の菅直人氏の名前まで挙げて、都知事選をたたかうよう迫っています。
民主党に“野党らしさ”を求めることと、特定の候補者まであげて選挙のお先棒を担ぐこととは、まったく次元の異なる問題です。新聞が特定政党の特定候補を支持するとなれば、それは新聞倫理綱領で「正確と公正」をうたい、「新聞は(中略)あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」と「独立と寛容」を求めた、マスメディアの則(のり)を踏み越えることになります。
東京都政でみても民主党は、自民・公明とともに「オール与党」の一員となり、石原都政を支えています。石原知事自身、民主党の独自候補擁立の方針について、「是々非々やってて、民主党だってほとんどの案件に賛成してくれてるんじゃないの」(昨年十一月)と語っている有様です。その民主党に対立候補を立て「首都決戦」をと求めるのは、それこそ「木に縁(よ)りて魚を求む」(木に登って魚を得ようとするの意)ことになる、筋違いの議論です。
近年、日本のマスメディアでは、自民か、民主かと、人為的に「二大政党」の対決をあおり立てる報道や論評が強まっています。いっせい地方選挙と参院選挙の二つの選挙を目前に控えた今日、その害悪はいよいよ重大です。心あるジャーナリストからは「日本ではたとえば憲法に関して、自民党と民主党という対立とは別の軸があるのに、そういう軸では語られない。戦わされるべき理念の違いを突き詰めて考えようという伝統が日本の政治報道に欠けているのではないでしょうか」(『論座』昨年十一月号)という反省が聞かれるようにもなっています。
マスメディア、とりわけ大新聞が、政治報道のあるべき姿に立ち返り、国民の立場に立った報道・論評を貫くことが求められます。 (宮坂一男)
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マスメディア時評
木に縁(よ)りて魚を求むの愚
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民主党と自民党が相次いで党大会を開きました。各新聞の報道では、とくに民主党について、「与党との違い示せるか」(「読売」十七日付)、「安倍vs小沢 決め技欠き」(「毎日」同)などのように、自民党との「対抗軸」を示せなかったというきびしい評価がほとんどです。
真の“対決軸”は
東京で発行されている各新聞の社説(十七日付、「毎日」は十八日付)を見ても、「朝日」や「毎日」、「東京」は、「自民対民主 目をそらさずぶつかり合え」(「毎日」)、「民主党 逃げずに真っ向勝負を」(「東京」)などと、民主党に自民党との「対抗軸」を求める立場から、民主党について論じています。逆に、「読売」や「日経」、「産経」は、民主党に“対決”よりも同調を求める立場で、「『対決』だけでは信頼は得られない」(「読売」)、「民主党は政策で勝負せよ」(「日経」)、「野党共闘優先でよいのか」(「産経」)と主張しています。
これらの新聞が民主党に自民党との“対決”を求めるのも、逆に自民党へのいっそうの同調を迫るのも、民主党に明白な「対抗軸」がないことの反映ですが、マスメディアに求められるのは、まず正しい事実を伝え、国民・読者に選択肢を提供することです。自民か、民主かと、「二大政党」の枠からだけ見るのではなく、改憲にせよ、「構造改革」にせよ、国民にとっての重要問題で各党の態度はどうか、その違いはどこにあるのか、問題のほんとうの対決軸は何かなど、国民に判断材料を提供することこそ、マスメディアの使命です。
いま国政の重大問題になっている改憲でも消費税増税でも、民主党が自民党に対しはっきりした「対抗軸」を持たないのは明白です。それを承知で「対決」をいうだけでは、民主党への間違った“期待”をあおり、国民・読者を誤った方向に導くことにしかなりません。
「朝日」の異常さ
そうしたなかでも「朝日」の社説は異様です。「民主党 菅氏で首都決戦を挑め」と、民主党代表代行の菅直人氏の名前まで挙げて、都知事選をたたかうよう迫っています。
民主党に“野党らしさ”を求めることと、特定の候補者まであげて選挙のお先棒を担ぐこととは、まったく次元の異なる問題です。新聞が特定政党の特定候補を支持するとなれば、それは新聞倫理綱領で「正確と公正」をうたい、「新聞は(中略)あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」と「独立と寛容」を求めた、マスメディアの則(のり)を踏み越えることになります。
東京都政でみても民主党は、自民・公明とともに「オール与党」の一員となり、石原都政を支えています。石原知事自身、民主党の独自候補擁立の方針について、「是々非々やってて、民主党だってほとんどの案件に賛成してくれてるんじゃないの」(昨年十一月)と語っている有様です。その民主党に対立候補を立て「首都決戦」をと求めるのは、それこそ「木に縁(よ)りて魚を求む」(木に登って魚を得ようとするの意)ことになる、筋違いの議論です。
近年、日本のマスメディアでは、自民か、民主かと、人為的に「二大政党」の対決をあおり立てる報道や論評が強まっています。いっせい地方選挙と参院選挙の二つの選挙を目前に控えた今日、その害悪はいよいよ重大です。心あるジャーナリストからは「日本ではたとえば憲法に関して、自民党と民主党という対立とは別の軸があるのに、そういう軸では語られない。戦わされるべき理念の違いを突き詰めて考えようという伝統が日本の政治報道に欠けているのではないでしょうか」(『論座』昨年十一月号)という反省が聞かれるようにもなっています。
マスメディア、とりわけ大新聞が、政治報道のあるべき姿に立ち返り、国民の立場に立った報道・論評を貫くことが求められます。 (宮坂一男)
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