2013年8月28日(水)
今日のダイヤモンド・オンラインのこの記事は、『有識者』エコノミストの
『論文』で、導入部では庶民も共感するような負担増を列記するような内容で
庶民を誘導し、最終的には消費税増税を行っても株価上昇で庶民の利得も増えて、
『経済の腰砕け』は無いだろう と言って、消費税増税を容認するような内容
となっている。
消費増税8兆円を株価上昇で穴埋めできるか
熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
(ダイヤモンド・オンライン) - 2013年8月28日(水)09:00
しかし、この記事を読んだ読者に対して直後に行うオンタイム・アンケート
の結果では、どっこいそんな誘導には乗せられていないと云う結果となった。
この記事を最後まで読まないとこのアンケートページに到達しないので、
このエコノミストの『騙しの消費税増税の手口』を読んでも8割を超える読者が
株価上昇で穴埋めできるとは思っていないことが判明した。
国会での『増税容認派有識者』の言い分もこの程度の低級なものなのであろう。
**********************
それでは、その『騙しの消費税増税の手口』を簡単に紹介しよう。
導入部は、消費税が8%になった場合の庶民の負担増を描く。
【2014年4月に予想される負担増の金額は年間8.1兆円。
ここに高齢者向けの特例水準の解消(▲1.0兆円)と
厚生年金・国民年金の保険料引き上げ(▲0.8兆円)を加えると、
年間負担増は合計▲9.9兆円に及ぶ】
【2012年7月~2013年6月の雇用者報酬額は、ほぼ横ばい(前年比0.1%増)。
利子・配当額は規模が12兆円弱。
2012年度の銀行決算資料では、預金利息は前年度▲13.8%の減少になっている。】
【2011年度の家計所得(フロー部分)は305兆円と、
1997年度370兆円よりも2割方減少しており、
▲9.9兆円の負担増(所得比▲3.2%増、1997年のときは▲2.3%増)は、
きついように思える。】
ここまでは、おそらく正しい情報だろう。
しかし、上記最後の「きついように思える。」という表現に見えるように
ここから話は逆転して行く。
【上場株式のキャピタル・ゲインについては、
アベノミクスが始まった後の2012年10月~2013年6月末までに+25兆円もの
値上がり益があると計算できる(2013年8月27日終値1万3542円で計算)。
ここに、投資信託や外債などを加えて、家計金融資産全体で再評価すると
+58兆円にも膨らむ】
【このように具体的に分析を進めていくと、家計のストックが増加する好影響は、
消費税の増税の負担増よりもはるかに大きい規模だということがわかる。】
しかし、金融資産で家計が膨らむ世帯はどれだけなのか?
もし、上記のような58兆円もの値上がり益があるのは正しいとしても、
その金融資産を所持しているのは、極ひと握りの大金持ちだけである。
この『論文』では、自ら次の分布図を紹介している。
エコノミストの解説が無くても、これを見れば、年収1千万円未満の人々 ⇒
すなわち、一般庶民の9割方の人々には、投資信託等を含む株式金融資産は無いに
等しく、誰が見てもアベノミクスによる株価上昇によっては、消費税負担は
『穴埋めできない』 のである。
そして、このエコノミストは、次のように書いている。
【家計の株式保有金額は、81.4兆円に達すると推計できる(2013年8月27日終値)。そのうち、世帯主60歳以上の家計が保有しているのは64兆円(78%)。値上がり益の8割は、高齢者世帯のものである。
ところが、総世帯のうち約半分(49%)を高齢者世帯が占めているにもかかわらず、高齢者世帯のうち株式投資をしているのは約24%の世帯に限られている。さらに、株式を保有している世帯であっても、株価上昇の恩恵の9割は、金融資産保有額2000万円以上の大口資産家に帰属している。】
結局、金融資産保有額2000万円以上の大口資産家に株価上昇の恩恵の9割が
流れてしまうのであり、そのような大金持ちが庶民の百倍も千倍も買ったり
食べたり消費する訳ではないので、消費支出全体は消費税増税によって一層
低迷することは明らかである。
そして、この『論文』は、最後にもう一度『庶民想い』のフリをして
【安倍政権の経済政策は、これから消費増税を実施した後に、株価上昇の恩恵にも与れずに、所得が増えなかった人々などから不満の声に晒されるであろう。この問題の根っこには、マクロの経済成長では片付かない分配問題があると考えられる。
今後、一旦企業がプールしたキャッシュフローを、もっと活発に賃金や設備投資に振り向けさせるような分配支援政策に、もっと熱心に取り組む必要がある。】
と結ぶのである。
賃金にも一応申し訳程度に触れてはいるが、眼目は「設備投資」である。
まさに『詐欺的論理展開』である。
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消費増税8兆円を株価上昇で穴埋めできるか
熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
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『論文』で、導入部では庶民も共感するような負担増を列記するような内容で
庶民を誘導し、最終的には消費税増税を行っても株価上昇で庶民の利得も増えて、
『経済の腰砕け』は無いだろう と言って、消費税増税を容認するような内容
となっている。
消費増税8兆円を株価上昇で穴埋めできるか
熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
(ダイヤモンド・オンライン) - 2013年8月28日(水)09:00
しかし、この記事を読んだ読者に対して直後に行うオンタイム・アンケート
の結果では、どっこいそんな誘導には乗せられていないと云う結果となった。
この記事を最後まで読まないとこのアンケートページに到達しないので、
このエコノミストの『騙しの消費税増税の手口』を読んでも8割を超える読者が
株価上昇で穴埋めできるとは思っていないことが判明した。
国会での『増税容認派有識者』の言い分もこの程度の低級なものなのであろう。
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それでは、その『騙しの消費税増税の手口』を簡単に紹介しよう。
導入部は、消費税が8%になった場合の庶民の負担増を描く。
【2014年4月に予想される負担増の金額は年間8.1兆円。
ここに高齢者向けの特例水準の解消(▲1.0兆円)と
厚生年金・国民年金の保険料引き上げ(▲0.8兆円)を加えると、
年間負担増は合計▲9.9兆円に及ぶ】
【2012年7月~2013年6月の雇用者報酬額は、ほぼ横ばい(前年比0.1%増)。
利子・配当額は規模が12兆円弱。
2012年度の銀行決算資料では、預金利息は前年度▲13.8%の減少になっている。】
【2011年度の家計所得(フロー部分)は305兆円と、
1997年度370兆円よりも2割方減少しており、
▲9.9兆円の負担増(所得比▲3.2%増、1997年のときは▲2.3%増)は、
きついように思える。】
ここまでは、おそらく正しい情報だろう。
しかし、上記最後の「きついように思える。」という表現に見えるように
ここから話は逆転して行く。
【上場株式のキャピタル・ゲインについては、
アベノミクスが始まった後の2012年10月~2013年6月末までに+25兆円もの
値上がり益があると計算できる(2013年8月27日終値1万3542円で計算)。
ここに、投資信託や外債などを加えて、家計金融資産全体で再評価すると
+58兆円にも膨らむ】
【このように具体的に分析を進めていくと、家計のストックが増加する好影響は、
消費税の増税の負担増よりもはるかに大きい規模だということがわかる。】
しかし、金融資産で家計が膨らむ世帯はどれだけなのか?
もし、上記のような58兆円もの値上がり益があるのは正しいとしても、
その金融資産を所持しているのは、極ひと握りの大金持ちだけである。
この『論文』では、自ら次の分布図を紹介している。
エコノミストの解説が無くても、これを見れば、年収1千万円未満の人々 ⇒
すなわち、一般庶民の9割方の人々には、投資信託等を含む株式金融資産は無いに
等しく、誰が見てもアベノミクスによる株価上昇によっては、消費税負担は
『穴埋めできない』 のである。
そして、このエコノミストは、次のように書いている。
【家計の株式保有金額は、81.4兆円に達すると推計できる(2013年8月27日終値)。そのうち、世帯主60歳以上の家計が保有しているのは64兆円(78%)。値上がり益の8割は、高齢者世帯のものである。
ところが、総世帯のうち約半分(49%)を高齢者世帯が占めているにもかかわらず、高齢者世帯のうち株式投資をしているのは約24%の世帯に限られている。さらに、株式を保有している世帯であっても、株価上昇の恩恵の9割は、金融資産保有額2000万円以上の大口資産家に帰属している。】
結局、金融資産保有額2000万円以上の大口資産家に株価上昇の恩恵の9割が
流れてしまうのであり、そのような大金持ちが庶民の百倍も千倍も買ったり
食べたり消費する訳ではないので、消費支出全体は消費税増税によって一層
低迷することは明らかである。
そして、この『論文』は、最後にもう一度『庶民想い』のフリをして
【安倍政権の経済政策は、これから消費増税を実施した後に、株価上昇の恩恵にも与れずに、所得が増えなかった人々などから不満の声に晒されるであろう。この問題の根っこには、マクロの経済成長では片付かない分配問題があると考えられる。
今後、一旦企業がプールしたキャッシュフローを、もっと活発に賃金や設備投資に振り向けさせるような分配支援政策に、もっと熱心に取り組む必要がある。】
と結ぶのである。
賃金にも一応申し訳程度に触れてはいるが、眼目は「設備投資」である。
まさに『詐欺的論理展開』である。
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消費増税8兆円を株価上昇で穴埋めできるか
熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
(ダイヤモンド・オンライン) - 2013年8月28日(水)09:00
消費税率を8%に引き上げて、景気が腰折れするかどうかに注目が集まっている。多くの人の脳裏から、1997年4月の消費税率の引き上げで景気が腰折れしたトラウマを消せないのだから、悩ましいのは仕方がない。しかし、経済政策には実験ができない以上、最後は政治が腹をくくるしかない。
できることは、増税と他の恩恵のプラスとマイナスを比較考量することである。そこで筆者は、税負担増に対してそれを穴埋めできるような購買力の増加が、消費者にもたらされているかを確認してみることにした。
2014年4月に予想される負担増の金額は年間8.1兆円。ここに高齢者向けの特例水準の解消(▲1.0兆円)と厚生年金・国民年金の保険料引き上げ(▲0.8兆円)を加えると、年間負担増は合計▲9.9兆円に及ぶ。
家計金融資産は58兆円の時価増価
それに対して、家計の購買力の変化はどうか。考えられる変化は、(1)勤労所得増、(2)利子・配当などの金融所得増、そして(3)株式などの金融資産のキャピタル・ゲイン(値上がり益・円安による時価増加)の3つである。
データを確認すると、(1)2012年7月~2013年6月の雇用者報酬額は、ほぼ横ばい(前年比0.1%増)。利子・配当額は規模が12兆円弱。2012年度の銀行決算資料では、預金利息は前年度▲13.8%の減少になっている。
2011年度の家計所得(フロー部分)は305兆円と、1997年度370兆円よりも2割方減少しており、▲9.9兆円の負担増(所得比▲3.2%増、1997年のときは▲2.3%増)はきついように思える。
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