全国16カ所の原発で重大事故が起きた場合の放射性物質の
拡散予測が、公表から数日で間違いであったとして訂正されました。
原発事故での拡散予測ミスで陳謝 原子力規制委員長
西日本新聞 - 2012年10月31日 11:53
この発表の錯誤と訂正は、「原子力規制委員会」のポカミスではありますが、
単に方位を1/16間違えただけで、大勢には影響ありません。
もちろん「安全」と云う意味ではなく、「危険」と云う意味で・・・
この方位の違いで、糸島半島が避難地域に入るの入らないのと大騒ぎ
しているのは、全く意味がありません。
風向などは、去年1年間の傾向から割り出したもので、その都度変わる
実際の気候条件とは絶対に一致しません。
風向きによっては、糸島半島どころか、福岡市はもちろん九州全体が
高度汚染地域になる可能性が高いのです。
その上、これらの予測は、「絶対有り得ない事故だが念の為に予測した」
と云うものではなく、福島第1の経験から「少なからず起こりえる過酷事故」を
予測し、避難計画を立案する参考資料として提示されたものです。
他人事では無いのです。
今回も基本は30km圏内ですが、米軍が福島第1原発事故後直ちに50マイル
(約80km)圏外に避難するよう米国人だけに連絡したことを忘れてはなりません。
(西日本新聞 2012/10/30 朝刊 より)
前回も書きましたが、この赤い枠内は、生命に直ちに危険が生じる高度汚染
地域(1週間で100mSv)として「全員避難」するべき地域を示すものであり、
この枠外に居れば「安全」だと云う意味では決してないことをお忘れなく!
玄海原発が暴走する兆しを感じたら、直ちにずっと遠方へ避難することです。
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とはいえ、今回の錯誤発表で、原子力規制委員会が、これらの「予測業務」を
下請けに任せていたことが判明しました。
拡散予測の訂正で報告を指示
入力ミスのJNES(原子力安全基盤機構)に
西日本新聞 - 2012年10月30日 18:50
その上、その下請けの仕事を『検品』することなく、そのまま市場に流した
のですから、無責任と言わなければなりません。
どんな会社でも下請けから部品を受け取ったら検査してから製品に組み込んで
自らの責任で販売するのが常識です!
発足したハナから無責任体制を露呈し、(初めからあまり信用はしていないが)
国民の信頼感を、より一層失ったのは明白です。
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(修正された『予測』 西日本新聞 2012/10/30 朝刊 より)
(西日本新聞 2012/10/30 朝刊 より 上記の一部)
(最初の『予測』 西日本新聞 2012/10/25 朝刊 より)
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今回の錯誤が判明する前に出された 【河北新報・社説】では、
最後にこう結んでいます。
【福島の教訓をくみ取って住民の避難にまで備えるのは、とりわけ都市部にとって負担の多い大変な作業だろう。
自治体も規制委もこれから、本当に住民を守る防災対策を実行できるのかどうか、見極めなければならない。
それが不可能に近いのなら、原発の存廃そのものを議論するのが筋だ】
まさに、原発を全部停止し、安全に廃棄するしか方法はありません!
放射能拡散予測
/もっと精密に試算すべきだ
【河北新報・社説】 2012年10月27日土曜日
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放射能拡散予測
/もっと精密に試算すべきだ
【河北新報・社説】 2012年10月27日土曜日
原発事故によって大量に放出された放射性物質は一体、どこまで飛んで重大な被ばくをもたらすのか。国の原子力規制委員会が初めて、全国の16原発を対象にした試算結果を公表した。
「1週間の積算で100ミリシーベルトの被ばく線量」になる地点 を調べたところ、東京電力柏崎刈羽(新潟県)では原発から約40キロの魚沼市で100ミリシーベルトに達するという結果になった。東電福島第2(福島県富岡、楢葉町)と関西電力大飯(福井県)でも方角によって30キロを超えた。
東北電力の女川(宮城県女川町、石巻市)と東通(青森県東通村)では、いずれも十数キロ程度だった。
試算は周辺自治体を対象にした原子力防災計画策定の際の参考資料となるが、今回のデータだけで効果的な防災計画を作ることは無理だろう。
拡散予測をするなら、地形や風向きを最大限考慮した内容にすべきだ。その上で、確実な避難などが果たして可能かどうか、しっかり検証しなければならない。それが福島第1原発事故の教訓を踏まえた対応になる。
規制委は、福島と同程度の事故が各原発の全原子炉で起きたという想定で試算した。当然、多くの原子炉を抱える原発は放出量も増え、100ミリシーベルト圏が広がることになる。
だが、これでは大まかすぎる。放出量はむしろ何段階かに分けた方が分かりやすい。原子炉3基の女川原発なら、同時多発と単独の両方の事故について想定すればいい。
さらに地形情報を加味していないのは、今回の試算の致命的な欠陥だ。福島では原発からの直線距離より風向きと地形、天候が放射性物質の拡散と汚染に決定的な影響を及ぼした。
SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のように地形のデータを入れ、風向きは仮定した方が現実的だ。つまり女川の場合、「北東の風なら石巻市で○ミリシーベルト。降雨があれば△ミリシーベルト。南西なら…」といった内容だ。
また、一般の人の年間線量限度が1ミリシーベルトなのに、たった1週間でその100倍になるという線引きの基準は高すぎる。「100ミリシーベルト圏外だから避難計画を作らなくともいい」と誤解する自治体が出てきたら、それこそおかしな話になる。もっと低い何種類かの線量も示すべきだ。
福島の事故後、規制委はこれまで原発から10キロ圏内だった防災の重点地域を30キロに拡大する考えだが、それでも到底十分とは言えない。
女川原発から約50キロの仙台市が地域防災計画に原子力災害対策を盛り込むことを決めるなど、自治体側の危機感は強い。ただ、福島の教訓をくみ取って住民の避難にまで備えるのは、とりわけ都市部にとって負担の多い大変な作業だろう。
自治体も規制委もこれから、本当に住民を守る防災対策を実行できるのかどうか、見極めなければならない。それが不可能に近いのなら、原発の存廃そのものを議論するのが筋だ。
【河北新報・社説】 2012年10月27日土曜日
原発事故での拡散予測ミスで陳謝 原子力規制委員長
西日本新聞 - 2012年10月31日 11:53
原子力規制委員会の田中俊一委員長は31日の定例会合で、各原発が過酷事故を起こした場合の放射性物質の拡散予測のうち、6原発で誤りがあった問題について「(規制委発足後)しょっぱなから誤りがあり、大変申し訳ないと国民の皆さんに陳謝したい」と述べた。
田中委員長は「こうしたことが続くと、ますます国民の信頼をなくす。根本的な原因を含めて検討してほしい」と、規制委の事務局である原子力規制庁に指示した。
また、今回使った予測プログラムは地形の影響などを反映できないため「今後は、より精緻なプログラムの開発も必要だ」と付け加えた。
拡散予測の訂正で報告を指示
入力ミスのJNES(原子力安全基盤機構)に
西日本新聞 - 2012年10月30日 18:50
原子力規制委員会が原発事故の際の放射性物質の拡散予測で誤ったデータを公表した問題で、規制委事務局の原子力規制庁は30日、拡散予測を作成した独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」に、原因究明と再発防止策を2週間以内に報告するよう指示した。
拡散予測は、規制庁から発注を受けたJNESが、電力会社から各原発での風向きや風速など気象データの提供を受け、予測プログラムで試算する際に間違ってデータ入力した。間違いが発覚したのは北陸電力の指摘がきっかけだった。
規制庁の森本英香次長は30日の記者会見で「自治体、関係者に重ねておわびしたい」とあらためて陳謝した。
6原発の放射能予測に誤り
規制委、方角や距離を修正
(朝日新聞) - 2012年10月29日(月)21:08
原子力規制委員会が24日に公表した全国16カ所の原発で重大事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測について、規制委は29日、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)など6カ所で、データの入力ミスなどが原因で放射性物質の拡散する方角や距離が誤っていたと発表した。修正した予測図を改めて公表した。
誤りがあったのは、柏崎刈羽、日本原子力発電東海第二(茨城県)、北陸電力志賀(石川県)、日本原電敦賀(福井県)、九州電力玄海(佐賀県)、九電川内(鹿児島県)の6原発。
拡散予測は、福島第一原発事故と同規模の事故が全国の原発で起きたと仮定し、放射性物質の広がりを調べた。原発からどこまで国際原子力機関の避難基準「1週間で100ミリシーベルト」被曝(ひばく)するかを16方位でみた。
拡散予測、6原発で誤り
=要避難の最遠地点は長岡市―計算結果の方位にミス・規制庁
(時事通信) - 2012年10月29日(月)21:45
原子力規制委員会は29日、24日に公表した各原発の事故時の放射性物質の拡散予測結果について、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)など6原発で方位などが間違っていたと訂正した。当初の公表では、柏崎刈羽原発から東南東に40.2キロ離れた新潟県魚沼市が避難が必要な最遠地点だったが、正しくは東側で、同県長岡市内だった。
規制委の事務局機能を担う原子力規制庁の森本英香次長は「科学的な見地から防災対策に資するシミュレーションをつくるという委員会の事務局として、このようなミスをしたのは大変申し訳ない」と謝罪。関係する自治体には連絡と謝罪を終えたという。
ミスがあったのは、柏崎刈羽原発のほか、日本原電東海第2(茨城県東海村)、北陸電力志賀(石川県志賀町)、日本原電敦賀(福井県敦賀市)、九州電力玄海(佐賀県玄海町)、川内(鹿児島県薩摩川内市)の計6原発。
いずれも、処理を担当した原子力安全基盤機構(JNES)が、各原発の風向データを入力する際、方位を表すコード番号が原発ごとに違うことに気付かずに入力。計算結果の方位が、南南西が南に、東が東北東にずれるような形で誤っていた。
また、玄海、川内両原発では、気象データの中で欠落した部分についての処理を誤ったため、一部の地点で拡散距離が最大300メートル長くなったり、短くなったりした。
拡散予測に誤り 徹底検証を
NHK-NEWS - 10月30日 11時30分
国の原子力規制委員会が、今月24日に公表したばかりの原発事故が起きた際の放射性物質の拡散予測の試算結果に誤りが見つかり、29日、規制委員会が6つの原発の試算結果を訂正しました。
原発が立地する自治体などが地域防災計画で防災を重点的に行う地域を決める際などに参考にする重要な資料で、規制委員会の信頼を損ねる事態となっており、ミスがなぜ起きたのか、徹底した検証が求められます。
<ミスはこうして起きた!>
試算は全国に16ある各原発ごとに、福島第一原発と同じような事故が起きて大量の放射性物質が一度に放出されるという条件で、去年1年間に各原発で観測された実際の気象条件を考慮して行われました。
そして、国際的な避難基準である 1週間の積算の被ばく量が100ミリシーベルト に達する原発から最も遠い地点を16の方角ごとに地図上に示しています。
(画像省略:上記リンクからNHKサイトを御覧ください)
ミスは、この試算に使う気象データなどの入力に誤りがあるのではないかという電力会社からの指摘を受けて判明しました。
規制委員会によりますと、風向きを示す方位をコード番号で表記する際、電力会社によってその記述が異なっていて、北を「1」で表記する電力会社もあれば、「16」と表記するところもあるということです。
このため、試算する際にはコード番号から風向きを正しく認識するための変換作業が必要で、今回その作業で入力ミスなどがあったということです。
その結果、放射性物質の拡散する方角が16分割した方角で時計回り、あるいは反時計回りに1つ分ずれる形で間違ったということです。
<訂正したのはどの原発の試算結果?>
訂正されたのは16の原発のうち、柏崎刈羽原発(新潟県)、東海第二原発(茨城県)、志賀原発(石川県)、敦賀原発(福井県)、玄海原発(佐賀県)、それに川内原発(鹿児島県)の6つの原発の試算結果です。
このうち、柏崎刈羽原発のケースを見てみます。
当初の発表では、国際的な避難基準の1週間100ミリシーベルトの放射線量に達する地点を最も遠いところで原発から東南東40.2キロの魚沼市としていました。
ところが、今回のミスによって影響の及ぶ方角が16分割した方角で時計回りに1つ分、つまり「東」が「東南東」に、「南南東」が「南」にずれる形で間違っていたことが分かり、この結果、最も遠くまで影響が及ぶ地点は、東南東の魚沼市ではなく、真東の長岡市に訂正されました。
それ以外にも今回の訂正によって大きく影響を受けたのは、原発から東北東31.6キロに位置する見附市です。
国が避難などの対策を重点的に行う範囲の目安30キロよりも外側にあり、当初、公表された試算では、国際的な避難基準の放射線量に達していませんでした。
ところが今回の訂正によって、突然、避難基準に達したのです。
<今回のミスの影響は?>
このように今回のミスは放射性物質の拡散する方角が誤っていたということにとどまらず、これまで原発事故で避難などの対策が必要となるとは考えていなかった自治体に突然、「避難の可能性」を突きつけたともいえます。
今回の訂正を受けて、委員会の事務局、原子力規制庁の森本英香次長は急きょ、記者会見して「規制される立場にある電力会社からの指摘で誤りが判明したことはとても残念だ。公表したシミュレーションは自治体が防災計画に参考にする極めて関心が高い資料で、そうした資料をこのような形でミスをして自治体や関係者にご迷惑かけたことは大変申し訳ない」と謝罪しました。
今回の拡散予測の公表を巡っては、最初の発表の際、関係する自治体に事前にメールで内容を伝えただけで、詳しい説明をしないまま公表に踏み切り、自治体から「説明不足だ」と批判されたほか、発表後すぐに地名を訂正、さらに今回、発表からわずか5日で試算結果そのものの誤りが分かるなど信頼を損ねる事態が続いています。
原子力規制委員会は、去年3月の原発事故を教訓に独立性、透明性をうたい先月発足。
原発の安全性を判断するための新たな安全基準や、防災指針の策定、それに「破砕帯」と呼ばれる断層の調査など、重要な案件を同時並行で検討してきました。
これらの問題はいずれも立地地域、周辺地域の理解抜きには進みません。
原子力規制委員会は、今回のミスがなぜ起きたのか、仕事の進め方や職員一人一人の意識に問題はなかったか徹底的に検証するとともに、地元への情報提供の在り方をいま一度、見直す必要があると思います。
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