昨日(2012/10/17)最高裁判所大法廷は、2010年の参議院選挙当時の
選挙区間の一票の重さの格差について「違憲状態」との判決をくだした。
当然のことである。
一方では選挙そのものは、無効とはしなかった。
無効にすると、2012年参議院選挙後成立した法律や条約など参議院の採決が
必須である行為が全て無効になってしまう可能性もあるからだろう。
それでも裁判官15人の内3人は選挙も無効だと意思表示したと云う。
勇気ある態度表明だと思う。
無効にしてくれれば、消費税法も無効になるのに・・・
なお、今回の判決の特徴は、選挙区の区割りは国会の責任でやるべきである
との立場をとらず、具体的な対応を求めたことだ。
【「都道府県単位で選挙区の定数を設定する現行の方式を改めるなどの立法的措置を講じ、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある」と選挙制度の抜本改正を求めた。】 産経(2012/10/18)
【参院では都道府県ごとに選挙区を設ける上、3年ごとに半数を改選する規定があるため、定数を偶数にする必要があり、人口が少ない県にも最低2議席が割り当てられる。
このため、現行の仕組みを維持したまま定数を振り替えても、大幅な格差縮小は望めない。
今回の判決は「参院選であることから、ただちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだしがたい」とし、常態化する参院選の格差の是正を求めた。】 産経(2012/10/18)
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参院選の格差5倍「違憲状態」=都道府県選挙区見直し求める―10年選挙・最高裁
(時事通信) - 2012年10月17日(水)19:18
一票の格差、前回参院選は「違憲状態」 最高裁大法廷
(朝日新聞) - 2012年10月17日(水)16:02
「一票の格差」5倍で(平成)22年参院選は違憲状態
最高裁「著しい不平等」
(産経新聞) - 2012年10月18日(木)08:05
「一票の格差」違憲状態 参院、特別扱いせず
(産経新聞) - 2012年10月18日(木)08:05
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参院選の格差5倍「違憲状態」=都道府県選挙区見直し求める―10年選挙・最高裁
(時事通信) - 2012年10月17日(水)19:18
「1票の格差」が最大5.00倍だった2010年7月の参院選は違憲だとして、弁護士グループが選挙無効を求めた訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は17日、「格差は違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態にあった」として、違憲状態だったとする判決を言い渡した。
その上で、「一部の選挙区にとどまらず、都道府県単位の選挙区制を改めるなど、立法措置を講じて速やかに不平等状態を解消する必要がある」と、制度の抜本改正を求めた。選挙無効の訴えは退けた。
最高裁が参院選を違憲状態としたのは、格差6.59倍だった1992年選挙以来で、2度目。衆院選についても最高裁は昨年、09年選挙を違憲状態と判断しており、直近の衆参両院選が違憲状態とされる異例の状況となった。
15裁判官中11人の多数意見。3人は選挙を違憲とし、うち2人は来年の参院選が現状のままなら選挙を無効とすべきだとした。1人は格差を違憲状態としながらも、現行選挙区制には合理性があるとの意見を述べた。
一票の格差、前回参院選は「違憲状態」 最高裁大法廷
(朝日新聞) - 2012年10月17日(水)16:02
「一票の格差」が最大5倍となった2010年7月の参院選をめぐり、弁護士らが「投票価値が不平等なのは憲法違反だ」と、各地の選挙管理委員会を相手に選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決で、最高裁大法廷は17日、「違憲状態」とする判断を示した。
選挙無効の請求自体は退けたが、「都道府県ごとの選挙区を改める必要がある」などと述べ、現在の仕組みそのものの見直しを求めた。15人の裁判官のうち11人の多数意見。
最高裁はこれまで、参院選で「違憲」と判断したことがなく、その手前の「違憲状態」も、最大格差が6.59倍に達した1992年選挙をめぐる判決(96年)の一度だけだった。6倍を下回る格差について、「違憲状態」と判断したのは初めてだ。
「一票の格差」5倍で(平成)22年参院選は違憲状態
最高裁「著しい不平等」
(産経新聞) - 2012年10月18日(木)08:05
平成22年7月の参院選で最大5倍の「一票の格差」が生じたのは憲法違反として、2つの弁護士グループが選挙無効を求めた計17訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は17日、「著しい不平等状態に至っていた」として、選挙は「違憲状態」だったと判断した。その上で「都道府県単位で選挙区の定数を設定する現行の方式を改めるなどの立法的措置を講じ、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要がある」と選挙制度の抜本改正を求めた。選挙無効の請求は退けた。
最高裁が参院選について違憲状態と判断するのは、8年の大法廷判決以来。衆院選についても昨年、違憲状態だったと判断しており、衆参両院がともに「憲法違反の状態」と指摘される異例の事態となった。
判決は「参院は衆院とともに国権の最高機関として適切に民意を国政に反映する責務を負っている」と指摘。都市部への人口集中で人口格差が拡大する中で「都道府県単位の選挙区を維持しながら投票価値の平等の実現を図ることはもはや著しく困難な状況」とする一方、「憲法違反とはいえない」と結論づけた。
15人の裁判官のうち11人の多数意見。田原睦夫、須藤正彦、大橋正春裁判官(いずれも弁護士出身)は違憲の個別意見をつけたほか、竹内行夫裁判官(外交官出身)は違憲状態としつつも「都道府県以上に意味のある選挙区単位を見いだすことは容易ではない」とする意見をつけた。
17訴訟の高裁判決は合憲4件(うち1件は2訴訟を同時に言い渡し)、違憲状態9件、違憲3件で、判断が分かれていた。うち1件は、竹崎長官の実兄が被告である香川県選管の委員長だったため、竹崎長官は審理に加わらず、田原裁判官が裁判長を務めた。
【用語解説】「違憲」と「違憲状態」
一票の格差訴訟で、過去の最高裁判例は、(1)格差の幅(2)是正できうる期間の長さ-の2段階を判断基準としている。最大格差の数字に着目し、著しく不平等とみなされた場合は「違憲状態」と判断。さらに、その状態が相当期間続いているとみなされた場合、「違憲」と判断される。参院では過去に違憲判決が出た例はない。違憲判決でも「選挙無効」が言い渡されない限り、ただちに国会議員は失職しないが、「違憲状態」に比べ、国会に対してより早急な格差是正を求めたことになる。
「一票の格差」違憲状態 参院、特別扱いせず
(産経新聞) - 2012年10月18日(木)08:05
最大5倍の「一票の格差」が生じた平成22年参院選の定数配分を「著しい不平等状態」と指摘した17日の最高裁判決は、参院を衆院に並ぶ「国権の最高機関」と明示し、存在感を増す参院の重要性を強調した。最高裁はこれまで衆院と比べて参院に幅広い格差を許容してきたが、今回の判決は「投票価値の平等」を重視する最高裁の姿勢を印象づける形となった。
「急速に変化する社会情勢の下で、長い任期を背景に、国政運営における参院の役割はこれまでにも増して大きくなってきている」
判決がまず触れたのは、参院の存在意義だ。衆院に優越的権限が与えられているのに対し、参院は解散がなく、任期は6年に及ぶ。「衆院とともに、適切に民意を国政に反映する責務を負っている」として、参院における「一票の重み」を強調した。
ただ、実際には、これまでの最高裁判決における衆参の“合憲ライン”には開きがあった。
衆院選で小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、最高裁は最大格差2・17~2・47倍を合憲として容認。2・30倍だった21年選挙について昨年、違憲状態との判断が示されたため、合憲との分岐点は「2倍前後」とみられてきた。
これに対して、参院は格差が最大6・59倍だった4年選挙が、8年の大法廷判決で違憲状態とされたものの、違憲となった例はなく、5・85倍だった昭和61年選挙も合憲とされた。
こうした背景には、参院独特の選挙事情がある。
参院では都道府県ごとに選挙区を設ける上、3年ごとに半数を改選する規定があるため、定数を偶数にする必要があり、人口が少ない県にも最低2議席が割り当てられる。
このため、現行の仕組みを維持したまま定数を振り替えても、大幅な格差縮小は望めない。
実際、参院は平成6年の「選挙区8増8減」、12年の「選挙区6減、比例代表4減」、18年の「選挙区4増4減」と是正を試みてきたが、近年は5倍前後の格差を解消できていない。
進まぬ是正に、司法の口調も厳しさを増している。21年には最高裁が「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と、異例の言及を行った。
さらに今回の判決は「参院選であることから、ただちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだしがたい」とし、常態化する参院選の格差の是正を求めた。
■選挙無効になる恐れ
≪慶応大学大学院の曽根泰教(やすのり)教授(政治学)の話≫
「現行の都道府県別の選挙区のあり方に踏み込んだ最高裁の厳しい指摘は当然だ。4増4減も解決策だろうが、根本的な改善策を示せという裁判所からのメッセージだ。現在、衆議院は解散が取り沙汰されているが、選挙後に同様の選挙無効を求める訴訟があれば今回の判決も大きく考慮され、選挙無効となる恐れも十分ある。違憲状態はこれまでに解消しておくべきだった。怠慢を指摘された国会は、具体的な方策を示せていない現実をもう一度見つめ直す必要がある」
■全政党が現状認識を
≪早稲田大学の片木淳教授(選挙制度論)の話≫
「違憲という判断を示してもよい状態で、もう少し踏み込んでもよかったのではないかと思う。違憲立法審査権を持つ最高裁が、国会の問題解決能力の欠如に対する国民の不満を受け止め、一定の具体的な考えを示した。国会は今回、宿題を突き付けられた格好だ。政党間の利害にこだわる段階ではなく、全ての政党が責任を問われている状況を認識しなければならない。議論ばかりで全く決まらないという民主主義の一番悪い形になりかけている」
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