一泊二日の強行スケジュールで、近くない実家に帰った。
当たり前なんだろうけど、都会も田舎も差はなく人は皆マスクだった。
が、家を出てから帰宅するまで、都会の満員電車から新幹線内、現地の賑わう駅やら、タクシーやら、ローカル鉄道やら、観光名所やら飲食店を始め、全てのショップを、完全にノーマスクで通した結果、何にも問題はなかった。
ノーマスクはタクシーにも乗れないなんて大嘘で、2回乗ったタクシーの運転手は、たまたまだったのかもしれないけど、人情味があってめちゃくちゃ親切だった。
乗っている間中、ずっと面白い話題を提供してくれて話が弾んだ。
一人はバスで二駅分くらの観光地までの料金をサービスしてくれたし、
「いつもは本当はもっと店が開いているのに、蔓防が始まっているので閉まっている店もあると思う。もし店が少なかったら、どこそこにいけば美味しいものが食べられる」とかいろんな情報も教えてくれた。
「でもね。もう2年でしょ。いい加減にしてくれと無視するお店なんかもいっぱいありますよ。こういう仕事しているからわかるんですよ。従っているのは空気というか人の眼なんですと言ってますよ、皆さん。ただの風邪に何言ってるの?って感じでね。」
唯一、帰りの新幹線内で車掌さんに「マスクをしてください」と儀礼的に囁かれただけで、彼も0.1秒で去って行った。
そして、途中から乗ってきたスキー帰りと見られる若者の集団には何も言わなかった。
車内のアナウンスでは「飲食をしながら大声で会話は禁止」と言っていたけど、何人かはアルコールを飲みながら、決して静かとは言えない会話を東京に着くまでずっと続けていた。
マスクさえしていればいいらしい。
私は車内では飲食せず、ずっと黙っていたし、隣の席の娘と話す時は耳元でヒソヒソしていたのに、これがダメでそれがOKとは意味がわからんゾ。
ともあれ、懐かしい大雪と新鮮な海の幸諸々を堪能して、刺激的で満足した旅行だった。
ところで謎なのは夫である。
「たった一日でもオマエがいないのは寂しかった。家について電気が付いてなくて迎えてくれる家族がいないのは辛い。混乱して一時間しか眠れなかった」
という言葉に(娘は爆笑)、もしも感動する奥様がいたら伝えたい。
私は「洗濯物をベランダから取り込む」ということは、夫にはハードルが高いと思って、極力少ない、殆どが夫のものだけを部屋干しして、家を出た。
が、カラカラに乾いているそれがそのままでタンスにしまわれていなかったので文句を言ったら「時間がなかった」と言われた。
時間がなかったわりに「眠れなくて映画を2本観た」そうである。
映画を2本観る時間があって、乾いた洗濯物をしまう時間はないの?と訊いたら、無いと言われた。
精神的に参ってそれどころじゃなかったようである。
たまには「女房元気で留守がいいとは思わないの?」と訊いたら、何を言っているかも理解できないようだった。
長年一緒に暮らしているけど、彼は未だにミステリーな存在である( ̄_ ̄ i)