朝間詰めの潮は、濁りが取れて、青みが戻っている様に見えていた。
「この潮なら、良い感じですね」
「アタリが出ると良いですね」
少しだけ、潮に対して期待感が、戻ってきた気がする。
ベイト反応も、船を進めるポイントに出ている。
益々、期待感が出てくる。
しかし、意に反して、アタリが来ない。
ベイトの正体は、鯖子と鰯の子。
貴重な朝間詰めの時間。
手を変え、品を変えて攻めてみるが、アタリが来ない。
仲間にも連絡してみた。
「下潮が動いていない」
「何も、アタリが来ない」
元気のでなくなる返事が、返ってきた。
色々と、ポイントを変えてみる。
最初のアタリは、福田さんに来た。
良型の真鰺が、上がってきた。
「これで、口火は切れましたね」
すこし、気持ちが上向いてくる。
福田さんに、アタリが続いた。
「このアタリは、今日一ですよ」
上がってきたのは、56センチのオオモンハタ。
「これは、嬉しいですね」
福田さんの笑顔が、輝く。
船首では、四月一日さんが、アタリを捕らえ始めている。
イトヨリダイ、真鰺と、アタリが続く。
小田さんも、ポツポツとアタリを引き出しているが…。
アラカブ等の、根魚が多い。
針を外して、海に帰す。
この日の潮は、下り潮が南に流れていた。
時間経過と共に、その流れが速くなってきた。
「2ノットで、下り潮が流れています」
沖からは、潮目も入ってきて、良い感じに見えるのだが…。
「着底が、取れませんね」
徐々に、浅場へと移動していく。
そんな、苦戦必至の速い潮の中、福田さんがアタリを捕らえる。
「多分、ハタだと思う」
上がってきたのは、久し振りのキジハタ。
「おおーっ、キジハタや」
皆さんから、驚きや羨望の声が上がる。
しかし、速くなった潮は止まる気配がない。
速い下り潮に、苦戦を強いられた釣りになった。