朝焼けが綺麗な朝だった。
海も、朝は少し風が有ったが、やがて、べた凪ぎの海になった。
北に行くか、南に行くか、出船前は少し悩んだ。
最近の、潮の動きの悪さが、悩んだ理由。
道路から見ている分には、沖合は上り潮が入って良い感じを受ける潮に見える。
しかし、沖に出てみると、濁りの入った下り潮になっていることが多い。
昨日ヒットしたポイントが、今日はヒットしないことが、多くなっているように感じている。
仲間の一人は「潟は色が悪いから、沖の深場から入ります」と、言っていた。
仲間の言っていた通り、手前は下り潮になっていた。
魚探を見ていると、一流し目に出ていたベイトが2流し目には、居なくなっている状況もあった。
ベイトが常に移動していると考えて、次の流しはどの位置にするか。
今の、私の課題にもなっている。
そんな事を、色々考えていた。
今日、最初のアタリが、原さんに来た。
「うおっ、来た」
唸るような声に、鋭いアワセが入る。
やり取りの途中には、針掛かりした獲物が、何度も食い上げてきた。
「外れた…、いや、違う」
慌ただしいやり取りの中、顔を見せたのはハガツオ。
3キロクラスの、良型ハガツオだ。
このハガツオがヒットする前には、何かのアタリが何度もあった。
時には、竿先が突っ込みを思わせる位の、強いアタリもあった。
新品のジグには、幾つも歯形が付いて上がってくるのだが…。
“潮の動きが悪い”状況が、ヒット率を下げている気がする。
「どれくらいで、流れています」
「0.2ノット前後、最大で0.4ノットかな」
「下潮の具合はどう」
「なんか、流れが下と上では違う気がしますね」
2枚潮にも成っているようだ。
餌釣りしている仲間からも「2枚潮になっちょるね」と、連絡が来ている。
一旦、南にポイントを移動してみた。
少し南に下ると、潮色が青くなってくる。
「ここは、上りが入っているのか」
魚探を見ていると、船の航跡がやや北東に、緩くカーブを描き始めている。
この頃には、鰺の生き餌を使って、もう1本竿を出してみた。
コッコッと、生き餌に何らかのアタリがある。
見ている方としては「食い込め!食い込め!」と、チョット力んでアタリの瞬間を待っている。
しかし、なかなか思うように食い込まない。
生き餌を上げてみると、半分に食い切られている。
この状態が、2度3度と続く。
一方で、ジグにも時折アタリが来る。
アタリの正体は、大きなエソが多い。
深場にいる仲間からも「エソが多いですね」と、連絡が来ていた。
ジグに傷を付ける歯のある魚。
生き餌を半分に食いちぎる魚。
「タチウオか、ハガツオかだと思っているけどね」
釣りの後半は、食い込みの悪さに欲求不満が募る1日になった。