船着き場で、出船の準備をしている頃から、北西の風が吹いていた。
「北東の風が吹き出す予報の前に、頑張りたいね」
「昼前位までは、やりたいね」
天気予報では、昼前位から、北東の風が吹く予報に成っている。
予報の的中が、少しでも遅れる事を願って、船着き場を離れる。
海上では、北西の風がやや強い。
北西の風に寄る、白波も出ている。
ポイントのベイト反応を確認して、竿を出す。
船が北西の風を受けて、流れる速さが気になるが…。
「流れる速さは、0.3ノット前後ですね」
「風が無ければ、潮が止まっているかも知れない」
そんな不安の中、最初のアタリが来た。
良型のカンパチ(ネリゴ)が、姿を見せた。
「今日も、良い調子であります様に」
心で願って、2度目の流しに入る。
ベイト反応が出始めると、アタリが来た。
良い感じで、竿が弧を描いている。
思わず「楽しいね」と、声を掛ける。
丸々と太った、ハガツオが上がって来た。
船の流すコースを、少しずつ変えながら流していく。
ハガツオ、カンパチ(ネリゴ)が、気持ち良く連発して来る。
その一方で、大潮の影響なのか、潮の動きがイマイチなのが気になっている。
急にアタリが止まったりして、戸惑う場面が出始める。
ベイト反応を確かめて、仕掛けを入れて行く。
アタリが来た。
「あれ? ラインが沖に出て行くけど、真下に突っ込んだりする」
「何だろう?」
タモに収まったのは、カンパチ(ネリゴ)とハガツオのダブル掛かり。
「どおりで、変な走りに感じたわけだ」
獲物を手にして、笑いが起きる。
釣果の数が、二桁を超して来た。
「ポイントを変えて、頑張るぞ」
と、自分に気合を入れるが…、風が、北東の変わって来た。
朝から残っていた北東のウネリが、急に高く成って来た。
沖目では、白波も立ち始めた。
仲間に電話すると「内場に移動中」と、話していた。
ウネリの間隔が狭い。
「引き揚げようか」
と、切り上げる事にした。