
「今日が、今年の釣納めです」
「そうですか。今年は、ありがとう御座いました。今日も、釣れると良いですね」
「これまで、時化中止が続いていましたから、頑張りますよ」
もうすぐ、今年も終わる。
正月用の魚を、何とか手にしたい。
楽しみを抱いて、沖に出て行く。
今日の予報では、北西の風がやや強くなっていたが、海上では、そんなに強く吹いていない。
潮行は、下り潮が沖に祓い出す様に流れている。
流速は、0.5ノット前後と、緩い流れに成っている。
風に押される分、流れが速くなっている。
しかし、上と下では、流れの速さが違う感覚を感じる。
最初のアタリは、満潮の潮止まり前に来た。
ベイト反応の切れた辺りで、強いアタリ。

重量感の有るアタリだが、強烈に走る感じではない。
「根魚かな」
ゆっくりと、巻き上げて行く。
船底が見え始める処で、暴れ始めた。
「鰤ですね」

丸々と、太っている。
ベイトを、沢山食べてるのかも、知れない。
船を戻して、次の流しに入ると、次のアタリが直ぐに来た。

最初のアタリは、小さかった。
「カサゴかな」位の、アタリだったが。
巻き上げ途中から、抵抗が強く成って来た。
慌てずに、ゆっくりと巻き上げる。
「鰤ですね」

「正月用の、魚が出来ました」
「一匹で、充分です」
満足の笑顔が、輝いて見える。
風が、段々と北東に変わり始めた。
しかし、波が出るような強さではない。
ポイントを移動して、ベイト反応を確認。
海底から、浮き上がったベイト柱が出て来た。
「ベイトが浮いています」
状況を伝えた時と、アタリが出た時が、同じタイミングだった。

「アタリは、どんな感じですか」
「さっきと同じですね。鰤ですね」
「ベイトに付いていましたね」
姿を見せた鰤は、お腹がパンパンに太っていた。

今年の釣納め。
鰤の確保で、楽しい釣納めにできた。