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ヒメジョオンとTPP

2013年08月13日 | 地域の山野草

「おいらはヒメジョオン。嫌われものだ、路にも、野にも、お山にも、田舎都会の区別なく、どこにも生えるヒメジョオンさ。ザマーミヤガレ、イッヒィヒィヒ、、、、、。」
この文章「ヒメジョオンの独り言その一」を「続・草木によせて」天声社(2006)で見つけたとき、ヒメジョオンのこれまでの日本の国土に浸透した経過を振り返ると、将来TPPに突き進む日本の姿とダブッて見えたので「ヒメジョオンとTPP」を今回のテーマとした。これはいつもの独り言に過ぎない。

ヒメジョオン(姫女苑、学名: Erigeron annuus)は、キク科ムカシヨモギ属の植物。背の高さが50-100cmにもなる、白い花を咲かせる一年草である。同属のハルジオンと共に、道端でよく見かける。
若い時期は、根本から長い柄のついた丸みを帯びた葉(根出葉)を付ける。やがて、茎が高く伸びると、根本の葉は無くなり、茎から出る細長い葉だけになる。茎と葉は黄緑色で、まばらに毛が生える。、、、、1個体あたり47,000以上の種子を生産し、さらにその種子の寿命が35年と長いこともあり、驚異的な繁殖能力をもっている。したがって、駆除がとても難しい。
北アメリカ原産で、ヨーロッパ、アジア(日本を含む)に移入分布する。

日本には1865年頃に観葉植物として導入され、明治時代には雑草化していた。現在では全国に広がり、山間部にも入り込んでいる。在来種の植物の生育を邪魔する可能性があり、とくに自然豊かで希少な植物が多く生育する国立公園や亜高山帯では問題となっている。そのためヒメジョオンは、ハルジオンとともに要注意外来生物に指定されているほか、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されている。


鶴田知也「わが植物画帖 第一集」市民新聞社 (1972)引用

鶴田知也氏は「わが植物画帖 第一集」でヒメジョオンを紹介している。直筆のめずらしい本だ。

ひめじょおん 
東京の空地という空地は、ひめじょおんの天下である。濁った空気も何のその、適者生存の理を地でいく勢いが、せん細な花冠は、ほのかに紫色をおびていじらしい。「あたしみたいなものしか育たないひどい環境なのね」といってるようだ。


ヒメジョオン 湯沢市駒形町 08.10

8月、農道のヒメジョオン一度刈り払われて再度成長し花が咲いている。このまま経過し花が終わると種子には冠毛があるため、たんぽぽと同じように風による伝播が起こり、遠くまで種子が拡散される。1個体あたり47,000以上の種子を生産し、さらにその種子の寿命が35年というのだから、繁殖拡散は他の植物を圧倒する。どこにでも現れるヒメジョオン、鉄道草、貧乏草ともいわれるこの外来植物。貧乏草の仲間にヒメムカシヨモギ、ハルジオン、オオアレチノギク等の草もある。これらの草は一旦侵入されと絶えることがないくらい繁殖し、荒れ狂う。

「ザマーミヤガレ、イッヒィヒィヒ」を読んで、ヒメジョオンが日本の国土の隅々まで制覇したように、TPPに突き進むこの国が「ザマーミヤガレ、イッヒィヒィヒ」の世界へとのめりこんでいく様を連想してしまった。

突如表面化したTPP。前の政権が言い出し、作為的なスローガンで参院選を制止した政権は、多くの国民が懸念した方向につき進んでいる。
TPP交渉は、日本が米国の要求を丸呑みする形となり、完敗することは目に見えていると言われている。「完敗」と見るのは国民の立場からで、市場原理主義の安倍政権としては予想通りの展開かもしれない。政権維持には米国の支持が欠かせず、米国と一体化し日本市場を米国企業の草刈り場として差しだそうとしている。すでに日本郵政と米保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)は7月26日、がん保険事業の提携を強化すると発表した。これも一例で、あの国は郵政事業等への進出の前哨戦にしか過ぎないだろう。

ヒメジョオンが1865年ごろ鑑賞植物として日本に入り約140年、山も川も里もまたたく間に、この国の空き地をという空き地を制覇したように、TPPへの今日の動向はこの国の行く末を象徴しているような気がしてならない。消費税増税、憲法改正論議その先の姿は推して知るべし。

この政権は前の政権以上にとんでもない政権の名にふさわしい。政治不信は先の参院選のように低投票率で推移するのか、それとも糾弾行動への幕開けが近づいてきたと見るべきか、、、、、。