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旧盆の山野草

2013年08月15日 | 地域の山野草
7月はじめからの梅雨空が40日近く続いてやっと晴天になった。自宅の杉林へ散策に出かけた。例年だとツナギやアブに悩まされ散策をあきらめていたが、今年はツナギやアブはいつもより少ない。以下はすべて我家の山林の山野草の紹介だ。前のブログにも書いたが杉林の間伐、天然林の下柴等の手入れが行き届いたのか、今まで気づかなかった山野草が見られるようになった。

真っ先にミヤマウズラの場所へ行く。ミズナラの木の下に数ケ所に2、30本は見える。今年はいつもより花が出揃った。


ミヤマウズラ 湯沢市川連町 08.13 

ミヤマウズラ(深山鶉、学名:Goodyera schlechtendaliana)はラン科シュスラン属の常緑の多年草。日本の地生のラン。
茎は地を這い,節ごとに根を張る。葉は,長さ5cmほどの先のとがった卵形で,地面近くに互生する。濃緑色の地に白い網目状の斑が入り,この様子がウズラの羽の模様に似ていることが名前の由来となっている。20cmほどの花柄を出し、10個ほどの鳥が翼を広げたような形の薄いピンク色の小花が並んで咲く。花柄や花には細かい毛が密生する。

名前に深山がつくが集落近くの里山にも生えるという。この写真は自宅から直線距離でせいぜい500mしかない所に毎年生える。


ホトトギス 湯沢市川連町黒森 08.13 

ホトトギス(杜鵑草:ユリ科ホトトギス属)山野の林下や林縁、崖や傾斜地などの、日当たりの弱いところに自生する。葉は互生し、楕円形で長く、葉脈は縦方向で、表面には毛が生える。花期は初夏から秋にかけてで、雌雄同花で上向きに咲き花被片の斑点を、カッコウ科の鳥のホトトギスの胸斑になぞられた名とされる。

ホトトギスは2、3日早ければ花が盛りだった。杉の下で少し薄暗く小さめだが花が咲いていた。


ヌスビトハギ  湯沢市川連町外坪漆 08.13 

ミズナラとブナとの間には少し空間があって、時々太陽の光が差し込む場所に固まって生えている。まとまっての花はどこかに風情がある。この野草の正しい呼び名がヌスビトハギと云うのか、いささか自信はない。あまり名誉ある名には思えないがここではそう呼ばせてもらう。

ヌスビトハギ(盗人萩、学名: Desmodium podocarpum subsp. oxyphyllum)は、マメ科ヌスビトハギ属の多年草。ひっつき虫のひとつである。近似種が多い。
和名は、果実が泥棒の足跡に似ると言う。奇妙に聞こえるが、あの牧野富太郎氏によると、古来の泥棒は足音を立てないように、足裏の外側だけを地面に着けて歩いたとのことで、その時の足跡に似ているからという。余談だが今日のドロボウはもっと緻密かも知れない。振り込め詐欺やネットでパスワードをも失敬して我物のすると云うのだから、ヌスビトの範疇に変わりがないのだが、話ならないくらい高度だ。反面、ヌスビトハギと命名した時代はもしかしたら文化的で、パワーは今よりズット高度だったかもしれない。

それにしても名がヌスビトハギ、花期は7-9月、茎の先端の方から数個の細長い総状花序をつける。下方のものでは、それらの基部には茎につくよりやや小さい葉がつく。花は長さ3~4mmほどの小さな淡紅色の花を細長い総状花序につける。


ミズヒキ 湯沢市川連町黒森 08.13 

ミズヒキ(水引、Antenoron filiforme、シノニム:Polygonum filiforme、P. virginianum var. filiforme)とは、タデ科ミズヒキ属の草本。
日本には北海道から本州、四国、九州、南西諸島まで全国各地に、日本国外には中国、ヒマラヤに分布する。低地の日当たりのよい林床や林縁、路傍等に生育する。日本では普通に見られる種である。多年草で、高さ30~80cm。茎の節部は膨らむ。葉は互生、広楕円形で、長さ6~15cm、先端は尖る。花期は8~11月頃。花は総状花序で、茎頂や葉腋から長さ20~40cmになる花穂を出し、それに小花がまばらに咲く。小花の色は上半分は赤色、下半分は白色である。和名はこの紅白に見える花序が「水引」に似ていることに由来する。

写真の水引は今の所上半分の赤色が主で長さは50cmは超えている。少し早いのか花弁に白色はまだよく見えない。このミズヒキが盛りになると秋を意識する。花穂が長さがこれほど長くなると、一日中だまって観察してみたくなる。自分にとっては秋を代表する野草の入る。


ヤブカンゾウ 湯沢市川連町黒森 08.13 

ヤブカンゾウは、平地や丘陵地の斜面、田畑の土手、道端、川縁、林縁などいたる場所に自生しています。 このように村落や都市など人間の生活圏に限って出現する植物を、専門家は「人里植物」と呼びオオイヌノフグリ、ホトケノザ、セイヨウタンポポ、セイタカアワダチソウ等も「人里植物」と云うそうだ。

ヤブカンゾウは中国原産の多年生草本であり、栽培されていたものが野生化している。花は八重咲きで、3倍体なので結実しない。種子で増えることはないので、過去に栽培されたものが生き残った。匍匐茎を出して広がり、群落を形成する。若葉と花は食用になり、乾燥させて保存食にした。また、利尿剤として民間薬として利用されるそうだ。よく似た種にノカンゾウがある。ノカンゾウの花は一重であり、結実する。

写真のヤブカンゾウは、去る7月7日実施された麓集落事業で草刈りされた場所で、その後再生したものだ。だからまだ約一ケ月ほどで小ぶり、それでも花が咲いた。真夏を代表する野草だ。


キンミズヒキ 湯沢市川連町外坪漆 08.13 

キンミズヒキが咲きだした。いつもだとツナギの大群に合うので遠慮していた場所。その数は近くにあるミズヒキよりも多い。金色の花が何か優雅に見える。黄ではなく金ミズヒキの命名が抜群だ。その花をジット眺めると金色のビロードのように見える。名をつけた人に脱帽してしまう。

キンミズヒキは北海道から九州、樺太・朝鮮・中国・インドシナなどに分布する多年草。山道の側など、やや自然性の高い草地に生育する。葉は5~9個の小葉に分かれ葉の付け根には明瞭な托葉がある。夏に茎を立ち上げ、8月頃に黄色い花を咲かせる。花の直径は6~11mm。果実はの上縁には長さ3mm程度の棘がたくさんでき、これで動物等にひっついて散布される。あまりしつこい付着力はないが、これもひっつき虫の一つである。


キンミズヒキ、ヌスビトハギ、ミズヒキ 自宅居間 08.13

キンミズヒキ、ヌスビトハギ、ミズヒキの3種が我家の居間にさりげなく飾られたのがお盆の13日。墓参りの後一杯しながら眺めるこれら野の花はこの盛夏の主役達だ。ただ、名前からしてヌスビトハギが少々気になるが、まずはなかなかの花に免じて堂々と主役に加えたらうまく調和したようだ。

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