夜の下りの相鉄線は、思いがけず空いていた。それはそう、土曜日。
大きなベビーカーを「よっこらしょ」と引きずって乗り込んできたのは、私と同世代
(おそらく)のおばーちゃん。
美しいママの小脇には、やんちゃな顔をした1歳ぐらいの男の子が。
とにかく少しもじっとしていない。ママが座るとおこる。それも、大きくのけぞる。
「ギャオー!」と私には聞こえる。
彼には座ると困るわけがあった。大好きな「吊り輪」に触れなくなるのだ。
とにかく乗り込んできた時から彼の目は吊り輪に集中していた。
それは立派なチャレンジャーのようだ。
ママは『仕方ないわねー』といった感じで立ち上がる。
すると彼は何と、美しいママの、スリムなお腹と、美しいラインを描く胸をよじ登った
あれは、ロッククライミングだ。
そして、まさに肩によじ登ろうとしたときムギュと摑まれてひきずりおろされた。
やれやれと思っていたら脇に手を差し込んで持ち上げ、彼は吊り輪を摑み満面の笑み。
若くなきゃ、男の子育てられない。高齢出産、女の子が多いのです、神の摂理。