午前9時過ぎ、雪はやみ、陽の光が差し始める。
横須賀線が、遅れながらも動き出した。
支度を急ぎ仕事場に向かう。
降りに降った、積もりに積もった雪をかき分けるように駅に向かう。
吐く息が白く脹らむ朝、けたたましく雪を蹴散らし車が脇をすべっていく。
「あの角を曲がれば駅に続く道。雪かきが完璧になされ・・・」と、そろりそろりと、それなりに急いだ。
ふと、真っ白な雪の中から、黄色い小さな花を見つけた。
まるで雪の小山にちょこんとおかれたように二ホンズイセンのかれんな花が顔をのぞかせていた。
そういえば、雪の中で春を告げるこの花には確か「雪中花」の別名がある。
そんなことをおもいながら、駅に急いだ。あす、花の香りを嗅ごう。
つかの間の幸せ時間でした。