「最後の医者は桜を見上げて君を想う」
二宮敦人著
最近こういう感じの文庫増えたな~と思いながら、書店員さんのオススメPOPが気になって買いました。
ある病院にいる、大学同期の三人の医者。
ひとりは高度な手術、治療をして、患者とともに最後まで戦い抜いて救いたいと情熱を燃やし
もうひとりは、抗がん剤や放射線、難しい手術による副作用で苦しみながら闘病するよりも死を受け入れて苦しいと分かっている治療を放棄してもいいのではと考え
もうひとりはふたりの対立をなんとか緩和しようと間に立ちながら医者としてのポリシーがふたりに比べてあいまいなことに悩み
…それぞれの立場で医療に取り組む様子がすごくリアルで、医者目線、患者目線すごくよく書けていると思いました。
取材だけで書いたのだと思いますが…最近リアルにこういう局面に対峙したわたしはすごく引き込まれてしまいました。
一筋の希望を頼りに、決断をし、辛い治療をして苦しんでも、病気に勝てず死んでしまう…だったら、わざわざ苦しい思いをしなくてもよかったのではないか?
でも、もしかしたら治療の効果があって苦しみの果てに助かることがあったかもしれない…
すべては終わってみなければわかりません。
K君は途中で緩和ケアに切り替えたけど、K君自身どこまで納得していたかはわたしには分からないし、それまでに何度も辛い手術を繰り返したから、わたしは今でも今までの決断はあれでよかったのかな、と考えることがあります。
結局、人間最後はみんな死んでしまうのだけど、その過程は様々で、できるだけちゃんと考えていきたいと思います。
K君のことを思い出しながら、時々読むのも辛くなったけど、心に残る一冊でした。