人生の折り返しを過ぎてみると、いままで実にいろいろあったなあと思う。暴力団に脅されたことも何回かある。
僕はヘナチョコだから一週間ぐらいは凹む。この程度の黒服だったら、ナントカいけそうだとか思ったらひどい目にあう。喧嘩は格闘技でもスポーツでもない。だからヤクザに勝てるのはヤクザだけだ。しかもこの手のお兄さんは、言質を取られぬよう迫力で迫り、ビビらせる。すでに、ここで勝負はついている。
彼らはプロであり仕事なのだ。そういつもいつも全力は出さない。緩急自在のボクサーだ。
俺は刀を畳に立てただけだ。俺がお前を斬ったか。警察に行くとか言うから俺の心は傷ついたぞ。さあ、誠意を見せてもらおうか。
と、なかなか弁舌も立つ。
しかし、僕は彼らが好きだ。ウソをつかない。約束を守る。気配りがすごく人の顔と話を良く覚えている。ただしウソや言い逃れにはまったく血も涙もない。
警察が家出人捜索願を出したからといって何かするか。ここで優しいお兄さんの登場だ。
が、僕は利用しない。警察は何もしないが、だからといってお兄さんに頼んだら社会秩序の破壊である。僕は彼らの強さを良く知っているから心はぐらつくが、やっとのところで、いけないと思うことにしている。
福岡県の警官の1/3、3500人の警官を動員し組事務所を取り囲み、たった二人の逮捕もできぬ警察が何をしてくれよう。(9年前の事件で被疑者一人は逃走。工藤会。)
友人は障害者であり奥方は病気だった。
頼まれた暴力団はメニューを提示した。今日中に連れ戻すならいくらです、一週間以内だったらいくらです。
親ばか友人がどのメニューを選択したか知らないが、鶏をぶら下げるように首をつかまれ子供は帰った。その後、その子は家出どころか、家の前に出るのも怯えていた。お兄さんたちは、黙ってアフターケアーもしてくれていたようだ。粋だ。
家出少年がどこに行ったかまったく情報のない中、ドスの効いた大声とは裏腹に、彼らは緻密な計画を立てていた。下記の①、②、③を締め上げる。ヤクザは令状の要らない熱心な私警察だ。
① 同じ中学の不良たち。(このチンピラ予備軍はひよこ家出少年をほしがっている。パシリや万引き実行犯に最適だ。こいつらを締め上げて聞き出す。)
② 同じ学区の父兄。(一般人がしらばっくれる事は出来ない。うそがばれると指が飛ぶ。玄関の靴と家族構成に矛盾はないか。)
③ 有力者。選挙の地盤を持つ議員。(選挙ネットワークは情報の宝庫だ。)
家出に限らず、窃盗、強盗の類。家にSECOMつけられる人はいいよ。警察じゃ当てにならんということじゃないか。僕の家にも何回か泥棒が入った。
あるときはまだ犯人が家の中にいて、家の塀を乗り越えることができず逃亡できないでいた。
110番するとなんと自転車(白チャリ)の警官が二人来た。それのみ。
仏壇の線香代、500円、盗られた。