毎日新聞 2021/8/16 20:33(最終更新 8/16 20:34)
1級河川の六角川が氾濫し、2年前に続いて広範囲に浸水した佐賀県武雄市や隣の大町町では16日、時折強い雨が降る中、住民らが泥につかった家財道具の片付けなどに追われた。
<引用終わり>
半年分の雨が一度に降ったので洪水になった。2年前の被害と同規模で、被害額は300億円以上に上った。
これは2年前の画像。
佐賀鉄工からのオイル流出は被害を大きくした。が、実際はノリ養殖への被害を恐れた国交省が排水門を開けなかったから堤防の内側に大量の油がとどまったのだ。
住民が水攻め油攻めにあうことより、国交省の関心はノリ被害にあった。
国交省は威張る前によく考えろ。油は水より軽い。排水は川底から行う。排水口をあけても問題ないという現場の声は無視された。
僕は水害の原因を特定することはできないが、「雨が降ったから」というバカ丸出しの理解にはあきれてしまう。思考力がないとこういう理解なんだなと思った。
農業用水の地下水利用が始まる前にもこの程度の雨は降っている。しかし洪水は起きても規模は小さかった。
最近の気候変動により降水量が増えたのが原因の一部であること。それは、ある程度了解できる。しかし、それが主たる原因であるということは言えない。
気候変動は大町町だけに起こっているのではないからである。
国交省のお粗末対応が被害を拡大させたといえる。しかし、それも主たる原因ではない。
主因は、地盤沈下である。
←川が氾濫したのではない。川が氾濫を食い止めている。洪水域の水位は川の水位より低いのだ。つまり地面が下がったのだ。
隣接する佐賀市と白石(しろいし)町は深刻な地盤沈下に対応するため、地下水利用を制限した。すると地下水利用量の減少と比例して地盤沈下はやんだ。
白石町の玉ねぎは地下水を吸って成長していたのだ。
何百年のタイムラグを伴って脊振山系の降った雨が佐賀市周辺の筑紫平野の地下に蓄えられていた。それを数十年で吸い上げてしまったのだ。
最大沈下は調査開始から現在までに6メートル。2.5メートルというところは広くある。国交省、環境省、佐賀県・・・縦割りどもの調査にすら明示されている。
タコが自分の足を食っていたのだ。
この地方に行くと川にかかる橋がせりあがっているところをよく見る。その段差は鋭くとがっているので補修を何度も繰り返した後がよくわかる。それでもクルマは跳ね上げられる。
橋がせりあがったのではない。道路が沈下したのだ。民家や商店と道路には段差が生じてない。一緒に沈んだから。橋も沈下してはいるのだが、頑丈な地下杭のおかげで沈下度が低い。
ほかにも原因がある。無秩序に掘り進めた炭鉱の坑道。この実態は誰にもわからない。大町町やその周辺には中小の炭鉱がひしめいていた。炭鉱跡で地盤沈下が起きていないところがあるだろうか。このことは断言できないが、行政は考える材料の提供をためらってはいけない。
中小の炭鉱は坑道を埋め戻していない。このボタ山の数倍の石炭が掘り出されたのである。地下に巨大空間があるのは必然だろ。
少なくとも有力団体の意向を忖度して水門を開けない国交省の姿勢は間違っている。
地盤沈下を放置した結果、残ったのは毎年の水害だ。
「だからダムを作りました。地下水は利用してません」という低能なへ理屈は見苦しい。
水をくみ上げなかったら地面が元の高さに戻るのだな。