か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

ちゃんぽんはすべてを語る  2

2017年08月11日 | 食・レシピ

父親は女を作って出ていくし母親はこの時とばかり金を使った。ちょうど大学進学のときだった。

ぼくは、優れた頭脳と着実な努力の尊さが分かる人間だったので、絶望的な状況であったがよく努力して合格した。どうせカネは続かないから大学は中退だろうから、それまでに弁護士かできれば官僚になりたいと思っていた。

そんな時、祖母がなけなしの金をはたいて学費をつないでくれた。天から降りてきた蜘蛛の糸のようであり、そこらのめぐまれた人間を見るとても悔しかった。

人間とは不思議なもので、こういう不遇のときはよく努力する。官僚は忙しくない。一部の財務がどうのこうの言われるが、頭が悪いから処理速度が遅いだけで年中忙しいことはない。僕はもう一段ステップアップしようと思いさらに上位の試験にチャレンジしたが、ことごとく落ちた。

舐めていたのだ。一定の地位が確保されると潜在意識がささやく。もうこれでいいではないか。

そんな時は天神の食堂でアルバイトしていた時代を思い出すことにしている。便所に行くふりをして僕だけにわかるように書いたノートを覚えた。食事は最も早く食えるうどんにして勉強時間を確保した。

僕はしなくてもいい苦労をしているな、苦労なんてそもそもしないほうがいいんだ、そしてそんな日は来ないんだ、と思い続けていた。そんな思いでうどんを食ったからよくむせた。

野球とマージャンを知らない僕は女からバカにされた。

 

だから今でもうどんは嫌いだ。半分ぐらいしか食えない。万福うどんの大盛りは、いやな思い出が甦らない。いいうどんだ。

 

 


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