昨日、長崎地裁はいわゆる「長崎ストーカー殺人事件」について裁判員裁判を開き容疑者を死刑にする判決を下した。
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おととし、長崎県で、ストーカー被害を受けていた女性の母親と祖母が殺害された事件で、殺人などの罪に問われた28歳の男に対し、長崎地方裁判所は「何の落ち度もない2人の命を理不尽に奪った結果は重く、極刑を科すしかない」として、求刑どおり死刑を言い渡しました。
NHK 6月14日 17時55分
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一見当たり前の判決のようだが僕はここにトリックが潜み巧妙な世論の誘導が企図されていると思う。まず量刑について。二人を殺害しているのだから死刑の判決が出るのは十分予想できる。
ところが、広島お好み焼き店夫婦殺害事件では24歳の容疑者は夫婦を殺害した。そのお好み焼き店には従業員として以前勤務していたにもかかわらず、64歳、61歳の夫婦を殺した。恩のある人を包丁でめった突きにしたわけだ。
裁判員と裁判官は更生の余地ありとした。この男が更生の余地があるなら、他の事件で相当の殺人をしても死刑にはならないはずだ。判決は無期懲役だった。
だが、長崎の殺人の場合には警察の失態が連続して起こり、本来なら殺されるはずのない人が長崎県警の怠慢により死んだ。以下経過を示す。
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【11月】
1日 長崎県警西海署に「傷害の被害届を出したい」と相談。同署は「事件が起こった場所の警察署へ」という屁理屈で不受理
4日 千葉県警習志野署に「被害届を出したい」と電話
5日 西海署に「無言電話が続く」と相談、対応なし
8日 親族が習志野署に「三女の部屋に侵入の跡がある」と通報。同署は対応せず
13日 この頃から筒井容疑者が三女の知人らに「三女の連絡先を教えなければ周りの人間を殺して取り戻す」などの脅迫メール
21日 西海署、習志野署に脅迫メールについて相談。両署とも「被害者の居住地の警察署に相談を」つまりやる気なし
同 三重県警桑名署に脅迫メールを伝え「筒井の実家巡回を」と要求。同署は「西海、習志野署に確認する」。以後連絡なし としてたらいまわしにする
【12月】
1日 三女が習志野署に「被害届を出したい」と電話。生活安全課は「いつでもいい」と回答
6日 三女と誠さんが習志野署へ。「刑事課が一人も空いていないので1週間待ってくれ」。後に「12、13日に事情聴取する」
8日 筒井容疑者が桑名市の実家を飛び出す 習志野署は慰安旅行へ
9日 未明から三女宅のチャイムを鳴らしたりベランダでたたく音。習志野署に通報。警察官は「顔を確認したのか」「逮捕はできない」と言って帰る。その後、同署は筒井容疑者が三女宅前にいるところを職務質問。両親に連れ帰るよう指示。
12日 習志野署が三女と誠さんから事情聴取(~14日)
13日 筒井容疑者が三女宅近くをうろつく。誠さんが習志野署に通報するも「まだ書類がそろっていないので逮捕できない」
14日 筒井容疑者は実家に帰るが、父親を殴り、母親の携帯電話を奪って家出。誠さんは習志野署員からその事情を聞く
16日 久江さんと美都子さんが殺害される
17日 長崎県警が筒井容疑者を逮捕。習志野署が傷害容疑で逮捕状
読売新聞 1月24日 23時47分(孫引き、一部加筆)
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この醜態を見るととても法治国家の警察とは思えない。全国の人殺しは思っている。人殺しは長崎で。
各県警間で問題をたらいまわしにして事なかれを決め込んでいる。署の慰安旅行には熱心に行くが事件性が明らかなのに解決の意欲が全然ない。殺人の前には傷害を起こしているのにそのまま自宅に帰し、自宅に帰ってないと分かっても被害者の実家には連絡していない。(上記の経過には省略している)被害者の家に向かったことは容易に想像できる。
つまり死人に口なしなのだ。警察、検察、裁判所は国民の非難をかわすため容疑者を早く殺してしまおうとしている。あほな国民は単純にも、悪い人を死刑にしてくれて警察検察裁判所ありがとう、と思うだろう。
ところが身寄りのない広島のお好み焼き屋が殺されても、死刑にしろという世論が高まらなかったので無期でお茶を濁す。
長崎西海町ではあきらかに犯人がそこまでやってくるのに被害届を受理しようとせず、犯人は堂々と人殺しができた。
他人事と思うなよ。広島のお好み焼き夫婦殺しは必ず出所する。まず初犯で満期出所はありえない。その間に恩赦、特赦がある可能性が高い。二人殺しという同一の条件なのに、片方は鶏のように首を絞められ片方はまた包丁を持って町を歩けるわけだ。その残虐性、更生の可能性、再犯の不可能性を鑑みると、逆なら分かる。広島二人殺しこそ死刑だ。裁判員制度の危険性はここにある。
写真は広島お好み焼き店夫婦殺人事件 無期囚 竹中誠司