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何の変哲もないボルト。このボルトの中心に穴をあけセンサーを埋め込む。
このセンサー付きボルトを本体にねじ込む。こうして直接覗けない燃焼室の状態をセンサーを通じ電気信号にして取り出す。
このセンサーをありとあらゆるところに取り付け、そのセンサー情報をコンピューターに送り演算をさせる。さらに演算結果を制御情報としてバルブやアクチュエーターに送り制御する。
実はこれはロケットに限った話ではない。じつは、お家の自動車もセンサーの塊だ。一台のクルマには数百個のセンサーが入っている。これがロケットともなると数千個になる。
このセンサーボルトをきちんと締めないと大変なことになる。当たり前。
ここでやっと、JAXA(宇宙航空研究開発機構 JAXA(ジャクサ) )の話。
失敗とは結果として金をどぶに捨てることだ。しかし、どんなに計算を尽くしても最後にはやってみないとわからない部分が残る。だから失敗することは成功に近づくためには必要なことだ。
失敗を責めてはいけない。またJAXAも非難を恐れて、失敗ではない中止だとか言い逃れをしても見苦しい。
H3. この失敗を見てJAXAの体質に相変わらずの問題ありと感じた。日本のロケット技術は何週も遅れて走るランナーだ。アメリカは毎週打ち上げている。北朝鮮は移動式でH3よりはるかに推力がおおきい。中国は人間を乗せて成功している。
H2Bは97%の成功率だと自慢するのは少し変だ。100回のうち3回爆発するロケットに乗れるかい?
JAXAはロケットの部品の多くを零細企業に依存している。このこと自体は問題ないのだ。ただJAXAと下請けの間に上下関係があり上が下を蔑視していることが問題だ。
ほんの一例。
普通のねじを締めるとき。ボルトの頭をレンチでつかんで右回りに締め付ける。最後はボルトの頭が土台に押さえつけられ締めつけ完了。これが普通。
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ところがセンサーねじは違う。めねじのピッチと、ボルトのおねじのピッチはごくわずか違う。ボルトを締めるとき、最初は回ってめねじに食い込んでいくがピッチが少し異なるのでだんだんネジは固くなる。やがてボルトはこれ以上回すとなめる(壊れる)というところで食いこまなくなる。
ここがポイント。センサーボルトはおねじ全体で本体のめねじに圧着しているのだ。だから燃焼ガスが漏れることはない。もしこれが普通のめねじとおねじのようにピッチが同一の場合、締め付けとはボルトの頭と本体のわずかの面積で締め付けている状態である。このとき高圧になるとボルトを外そうという力がかかり燃焼室のガスが漏れやすい。
そこで考え出されたのがあえてめねじとおねじのピッチをずらすという考え方。内部がいかに高圧になろうとねじを緩めようという力は働かない。
ある零細企業のおやじがJAXAから発注を受けたセンサーボルトに疑問を呈した。本体側のめねじのピッチはどうなっているのか、と。
つまり、同一のピッチでは燃焼ガスが必ず漏れると。JAXAの末端職員は、貧乏零細会社が仕事を与えてやったのに何をケチつけるのかとは言わなかったが、慇懃無礼に言われたとおりの仕事をしてくださいといった。
そしてロケットは燃料漏れを起こし爆発した。