
「千代香」(ちよか)。柳川だけだと思っていたら小倉駅でも売っているそうだ。
「おめでとう」。「とらや」で買った。いまどき駐車場一台しかないというのがいい。シュークリームも生クリームなんかじゃない。ちゃんとカスタードを使っている。いまどきここまでこだわっている菓子屋。
「千代香」はまさに千代の香りがするように柔らかくやさしいお菓子だ。どら焼きの皮をせんべいのように薄くして中のあんを包める限界まで薄くしてある。餡の甘さに皮がブレーキをかける。そのやり取りが高級感を出す。
「おめでとう」は名前がいい。めでたい時、何かがうまく行った時に食べるにきまっている。結構広い範囲で売られていることが分かったのでショック。柳川だけの高級菓子だと思っていた。誤解のままでいたかったな。
このごろの「おめでとう」はちょっと小豆が少なくて残念だ。「おめでとう」の上に乗っている透明のプルプルする寒天も薄くなり今はただ塗ってあるだけになった。どれも大体一個100円ぐらいだ。
菓子職人は見えないところで他店の技術革新と戦っている。カスタードがシューにしみ込んで萎びてしまわないようにはどうしたらいいか。噛んだときカスタードが飛び出さないようにはどのような角度でいれればいいか。課題は限りなくある。
「千代香」や「おめでとう」も同様だ。昔ほどのおいしさはなくなったがそれはコストとの戦いがあるからだ。一個300円も400円もとっていいならいつでも昔の味は出せる。そうしても、だれが買うもんか。
僕のゼファー(バイク)は80万円だ。ところが分解すると簡単な歯車しかない。これなら軽、(軽自動車)の方がいいというバカがいる。その手の人間はバイクとシュークリームとに共通する重要な経費をわすれている。
研究開発費だ。