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ホビーボス:99式戦車(98G式 ZTZ-99)99式坦克 完成

2012-03-16 19:13:29 | 現用戦車模型 完成品

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1999年10月天安門広場の軍事パレードで、それまで知られていなかった角張った砲塔を持ち車体形状がソ連のT-72によく似た新型戦車が公開された。これが80式戦車から96式戦車までの中国国内開発戦車と、85式戦車90-II式戦車で行われたパキスタンとの共同開発で得た技術蓄積を活用し、中国陸軍主力戦車の決定版として開発された98式戦車だった。

【開発経緯】
中国で第三世代戦車の開発が検討されたのは1970年代末である。ただし当時の中国の技術的立ち遅れを踏まえて、第三世代戦車に必要な技術の開発と次世代戦車の目指すコンセプトの確立のために技術実証車を研究開発することが決定された(参照、
122型戦車の派生型)。開発は北京のNEVORI(第201研究所)、内蒙古自治区包頭の第1機械工廠(第617工場。現FIRMACO)で行われた。この時期(70年代末~80年代初)、中国軍では次世代戦車の技術実証車を製作するのと平行して、西ドイツからレオパルト2を購入する交渉を行っていた。ソ連機甲部隊の脅威は当時の中国陸軍にとって深刻な問題であり、軍内には時間のかかる次世代戦車の開発を止めてその予算でレオパルト2を輸入しライセンス生産することで、T-72等のソ連新型戦車に対抗しようという2つの派閥が存在した。国産派と輸入派の論争は数年にわたって続いたが、最終的には財政上の問題からレオパルト2の導入は見送られ、レオパルト2に代表される西側第三世代戦車のコンセプトを取り入れた技術実証車を開発するという派が勝利を収めた。

当初の目標はレオパルト2戦車に代表される西側第三世代戦車であり、1979年3月にWZ1224(Type1224)と呼ばれる中国製120mm滑腔砲と複合装甲、ドイツ製エンジンを積んだ試作車が完成、続いて1981年には国産の高出力エンジン、パワーパック、油気圧式サスペンションの技術実証車であるWZ-1226、WZ-1226F2が完成した。上記の車両による研究開発は、西側技術導入とともに中国における第三世代戦車開発のための技術蓄積に大きく貢献した。その一方で開発過程や試験運用から、レオパルト2に代表される西側戦車の技術水準の高さと、それに匹敵する戦車を中国の技術水準で開発実用化するためには、更なる技術的発展が求められるなどの点も明らかになった。また建国以来、中国軍はソ連式戦車を運用生産してきており、西側の異なる設計思想の戦車を導入することは生産ラインや運用、整備などのインフラ面で大きな負担を要することが予想された。これらの検討結果を受けて、1981年にWZ-1226やWZ-1226F2の開発は技術実証段階に留める事が決定された。

その後も中国の軍や産業界では、第3世代戦車に関する研究が優先事項とされていたが、技術的課題に加えて次世代戦車のコンセプトをめぐる対立もあって研究開発は一時停滞を余儀なくされた。1つの派閥は、次世代戦車はソ連のT-72をベースとするべきであると主張していた。T-72をベースとした設計案は、某国より入手したT-72のリバースエンジニアリングによって得られた125mm滑腔砲と自動装填装置を採用した3人乗り戦車であり、T-72に範をとったソ連式戦車の設計を基本としつつ、西側より導入・中国国内で開発した技術を結合させるという方針であった。これは当時の中国の技術水準でも達成可能な内容で、長年ソ連系戦車を運用してきた中国にとっては、同じソ連系戦車であるT-72は生産や導入がより容易となるのがメリットであるとされた。これに対してもう一方の派閥は、西側戦車のコンセプトを採用すべきであると主張した。彼等の案はイスラエルのメルカバ戦車の影響を受けたもので、メルカバと同じフロントエンジンが採用され、兵装には半自動装填装置つき中国製120mm滑腔砲を搭載した4人乗り戦車という野心的な設計であった。設計思想も従来のソ連式設計から完全に脱却した西側第三世代戦車やメルカバ戦車の影響の大きいものであった。

両設計案の方向性は全く相反するものであり、慎重な検討が行われた。1884年7月、中国軍と関係機関の合同会議において、第3世代戦車はT-72をベースに開発する事が決定。同時にこの車両には生産代号「WZ-123」が付与された。この決定は1986年に中央軍事委員会により承認。中央軍事委員会と国務院は、「第3世代戦車を2000年の(陸軍の)主要装備とすること」、そして第7次五カ年計画(1986~1990年)の重点研究項目として、第8次五カ年計画(1991~1995年)での四大重点装備項目の1つとすることを正式に批准した。

1989年春には中国軍とNORINCOとの間で第3世代戦車の第一段階の研究開発に関する契約が交わされ、WZ-123の開発が開始された。開発はNORINCO傘下の第617工場が中心となり、開発と同時に新型戦車を生産するための生産ライン建設が始まった。翌1990年初めにはWZ-123の試製1号車が製造された。この車両は第3世代戦車に必要な技術の確認を行う技術実証車として各種の試験に投じられた。試製1号車の試験によって得られたデータを基にして、要求項目の改定が行われ、開発目標がより明確になった。1992年には、4両の試製車が完成。1993年、関係部署による技術検討会により、WZ-123の砲塔正面装甲の防御能力が将来の脅威の増大に対応するため当初のRHA値600mmから700mmに強化された。1994年、総参謀部と兵器総公司は二度に渡りWZ-123の射撃統制装置に関する検討会議を開催。同年8月、中国南部の射撃試験場において高温地帯での運用評価試験が実施された。試験では16項目の評価が行われ、合計走行距離は3,800kmに達し、各種砲弾200発を発射した。9月には、試作車2両を使用して北京郊外で信頼性と渡河能力に関する試験が実施。1995年から1996年にかけて、中国最北の黒龍江省で3両の試作車を用いて寒冷地での運用試験が実施された。1996年5月には第617工場においてWZ-123の試作車を装甲部隊による実施試験に供するための作業が開始された。同年12月3日、中国軍装甲兵装備技術研究所試験場においてWZ-123の部隊での試験運用が開始。これによってWZ-123の開発は、研究開発段階から実用化を前提とした部隊での試験運用の段階に移行した。

1996年12月、4両の試作車が寒冷地での適合試験に投じられ、2ヶ月間に渡って20項目以上の試験を実施、合計走行距離は6,900kmに達した。1997年末には、WZ-123の制式採用を行うための評価試験が実施され、寒冷条件において30項目の試験が行われ、合計20,000kmを走行し、760発の砲弾を発射した。同時期に、1999年10月1日に開催される建国50周年軍事パレード(1999年の下二桁から「9910工程」と命名)の目玉企画の1つとしてWZ-123を参加させる事が決定され、関係機関に通知された。これは、1999年までにWZ-123の開発を完了させパレードで走行可能な状態にしておく事を意味していた。1998年末にWZ-123の制式化が行われ、軍の制式名として「ZTZ-98/98式主戦坦克」の名称が与えられ、同時に翌年の建国50周年軍事パレードに間に合うように、初度量産型の製造が開始された。この時点では、98式戦車は、完全に実用段階に達したとは言えず、射撃統制装置や照準装置については不具合が解消されていなかったが、これらの解消は後回しとされ、軍事パレードでの展示を優先して作業が進められた。

1999年10月1日の建国50周年軍事パレードでは18両の98式戦車が登場し、それまで存在を知られていなかった中国の次世代戦車として各国の注目を浴びる事となった。この時点で98式戦車の開発に費やされた資金は数億人民元に達するとされ、パレードに参加した初度量産型の98式の製造費は一両1,600万人民元(190万ドル。いずれも1999年段階の価格)とされた。これは、中国で生産された戦車としては最高額の戦車であった。

【性能-概観・車内構造】
98式は、T-72の設計を参照したシャーシに85-IIM戦車以来中国戦車の標準となった溶接砲塔を組み合わせたスタイルを採用している。車体重量は実用化された中国戦車としては最も重い51tに達しているが、これは充実した防御力を要求された事や動力部容積の増加などに起因する物であった。

車体前面にはT-72に倣ったV字型の防弾板が装備されており、他の中国戦車との識別点となっている。これは車体前面に命中した砲弾が兆弾となって砲塔基部に命中するのを防ぐために装備された。しかし、改良型の99G式戦車では車体前面に爆発反応装甲を増設したため、V字型の防弾板は撤去されている。車体両側面には外部燃料タンクや整備用工具箱が装着されている。

98式の車内構造は、前から操縦区画、戦闘区画、機関区画の三つに分かれている。操縦席は車体中央に設けられており、キューポラには3つのペリスコープが設置されている。中央のペリスコープは微光増幅式暗視装置(最大有効距離200m)を装備する事が可能。操縦手の前方には92式化学/放射能検知装置と空気濾過装置が設置されており、NBC状況下での運用に備えている。操縦手左側には車内燃料タンク、右側には砲弾ラックと燃料タンクが配置されている。操縦は中国戦車に標準的なレバー式を採用しているが、パワーステアリングが施され、操縦時の疲労軽減に資している。

砲塔部には125mm砲を挟んで、右側に車長席が、左側に砲手席が配置されている。キューポラは前方に開くソ連式。車長用キューポラには5つのペリスコープが設置されており、キューポラ手前には全周旋回式の外部視認装置が装備されている。98式の砲塔は従来の中国戦車に比べて容積が広く取られており、より大口径の戦車砲の搭載も可能なスペースを確保している。(実験段階に留まったが、140mm滑腔砲を搭載する試験が実施されている。)砲塔直下には22発の砲弾(弾頭+分離装薬)を収納した自動装填装置(T-72のカセトカ自動装填装置をベースに開発。)が配置されている。

足回りは、リターンローラー付きの中型転輪6個とT-72の物に近い形式が採用されたが、車体長がT-72に比べて約1m伸びたため、転輪の幅はT-72より広くなっている。懸架装置はトーションバー方式を採用しており、第一、二、六転輪には油気圧ダンパーが備え付けられている。

【動力部】
車体後部の機関区画には、パワーパック化されたディーゼルエンジンと変速装置が搭載されている。98式戦車にはドイツMTU社のMTU MB-871 Ka501の技術的影響を受けて開発された150HBディーゼルエンジン(1,200hp)が搭載される予定であった。しかし、エンジンの開発に時間を要した事から、試作車両では、試作車両ではドイツ製MTU WD396、ウクライナ製6TD、イギリス製CV-12-1200TCA 12Aといった各国製ディーゼルエンジン、ドイツ製レンクLSG3000、フランス製SESM社製ESM500自動変速装置といった各国から調達されたエンジンや変速装置が搭載されて適合試験が実施された。

量産型(99式戦車と改称)では、150HBエンジンと国産機械式変速装置(前進7段/後進1段)が搭載された。変速装置には操縦手の疲労軽減のためパワーステアリング装置が内蔵されている。ただし、98/99式の変速装置は、左右の履帯を逆方向に動かす超信地旋回を行う能力は有していない。また西側第3世代戦車ほど変速装置の自動化が進んでいないため加速度では遜色があるとされる。
96式戦車90II式戦車では機関部圧縮のためエンジンを横置きにしていたが、98式のエンジンは車体容積の問題から横置きにする事が出来ず、縦に配置されている。これはエンジン区画の容積拡大を招き、98式の車体はベースとなったT-72に比べて約50cm長いものになっている。車体長が伸びた事による車体重量の増大は98式の問題点の1つであると見なされている。

前述の通り98式の車体重量は51tに達しているが、1,200hpの高出力エンジンを搭載していることから、出力/重量比率は23.53hp/tと中国戦車としては90-II式/アル・ハーリド戦車に次ぐ良好な数値を得ている。最大速度は路上65~70km/h、野外47km/h。航続距離は車内燃料のみで450km、増加燃料タンク搭載で600km。

【防護性能】
98式戦車の車体と砲塔は均質圧延鋼板を溶接して製造されており、車体前方上部と砲塔前面には複合装甲が装備されている。車体正面上部に装備された複合装甲は、2重になった通常鋼板の間に、グラスファイバーと超硬化鋼板が挟み込まれており、装甲の厚さは220mm/傾斜角度68度となっている。車体下部は80mmの均質鋼板。

砲塔前面の複合装甲は85-II式以来の外付け式の複合装甲ブロックを踏襲しているが、前述の通り防御能力が当初のRHA値600mmから将来の脅威の増大に対応するためRHA値700mmの防御性能を得ることを求められたため、装甲ブロックの厚さは従来の中国戦車よりも大幅に増加される事となった。1997年に実施された抗堪性試験では、105mmAPFSDS弾14発、125mmAPFSDS弾6発が98式試製車両の正面装甲に打ち込まれたが、いずれの砲弾も正面装甲を貫通する事は出来なかったとされる。ただし、要求値とされたRHA値700mmは達成できなかったとされ、「軍武狂人夢」の記述によると98式の砲塔正面装甲の防御能力は480mm(対APFSDS弾)/550mm(対HEAT弾)に留まったとされる[6]。数値上は射程2,000mにおけるラインメタル120mm滑腔砲のDM33 APFSDS-T弾(貫通力:RHA値460mm)にぎりぎりで抗堪可能であるといえる。ただし、中国軍では改良が進む戦車砲弾/対戦車ミサイルに対してより高度な防御能力を求めており、改良型の99G式戦車では複合装甲部の上に爆発反応装甲(ERA)を装着して必要とされる防御能力を確保するようになる。砲塔前面の複合装甲部分はブロック式になっており、被弾による破損時にすぐ交換できるようになっている。

車体側面にはHEAT弾防御や履帯のレーダー波反射率の低減を目的として、ゴム製の波型サイドスカート(厚さ8mm)が装着されている。砲塔側面/後部全体には籠状の荷物ラックがあり、対HEAT弾防御も兼ねている。これはチェチェン紛争においてロシア軍の戦車が、爆発反応装甲や複合装甲の無い砲塔後部をRPG-7で狙われ多数撃破された戦訓を取り入れたものと思われる。砲塔上面は盛り上がった形状になっており、トップアタック攻撃への対処が成されている可能性が考えられるが詳細は不明。

98式戦車の設計では、被弾時の二次被害防止に関する配慮も施されており、車内壁面には弾片飛散を防ぐためのスポールライナーが設置されている。万一、車内に被害が及んだ際には、砲弾の誘爆や車内の延焼を防ぐため、92式自動消火装置が設置されている。92式自動消火装置は、熱源探知装置6基、消化剤タンク4基、制御装置、自動/手動作動装置などで構成されている。消化タンクには液化されたハロン1301が充填されており、火災探知後、直ちに噴霧を実施して50秒以内に消火する能力を有している。

ただし、西側第3世代戦車の様に乗員区画と砲弾区画を分離して砲弾誘爆時のリスクを最小限にする工夫は施されておらず、T-72と同じ車体中央底部に自動装填装置が配置された構成を採用しているため、二次爆発により全損となる危険性は西側戦車よりも高いものになっているのは否めない。

間接防御用の装置としては、まず砲塔側面に84式76mm発煙弾発射機が合計10基搭載している。なお砲塔の形状が類似している
96式戦車の同発煙弾の搭載数は12基であり、両戦車を見分ける際の目安となる。

98式の特徴としては、中国戦車としては初になるレーザー検知式アクティブ防御システムが装備されている事である。これは中国で開発されたシステムで360度全方向からの測距レーザー光を検知し、砲塔後部に装備されているレーザー波発振機から直ちにレーザー光を照射して敵砲手の目や光学測距器を破壊する。またこのレーザー発振機は砲を向けられないような角度にいるヘリコプター等に対しても、レーザー光を照射する事ができる。装置は全周旋回が可能で、俯仰角は-12~90度、レーザー波の最大仕様距離は約4,000mで、連続30秒間の照射が可能。未確認だがこのレーザーを使用して無線封止下の状況でも僚車と通信が可能といわれている。

【攻撃能力】
98式の125mm滑腔砲は、ロシアの2A46M 48口径125mm滑腔砲をベースに砲身延長や砲身命数の向上などの改良を加えたZPT-98式 50口径125mm滑腔砲。砲身はサーマルスリーブで覆われており、砲身命数は700発。分離装薬方式を採用しており、APFSDS弾、HEAT弾、HE-FRAG弾、砲発射式対戦車ミサイルの発射が可能。98/99式の運用する125mmAPFSDS弾は、中国第3世代のAPFSDS弾でありタングステン合金製で砲口初速1,700m/s、貫徹性能は距離2,000mでRHA値850mmとしている。弾芯を劣化ウラン製に変更した改良型では貫通性能は960mmに達するとしている。ただし、中国が実施した試験の定義とRHA値換算の数値は西側の物と同一ではなく、この貫通力の数値をそのまま西側のRHA値と等しく見なす事はできないとの指摘がなされている[6]。砲発射式対戦車ミサイルは、ZPT-98のベースとなった2A46Mでも使用可能であるが、「漢和防務評論」誌の取材によると、ロシアやウクライナは中国への125mm砲用砲発射式ATM技術の供給は行っていない(
100mm砲用のATMシステムは売却している。)としている。「漢和」では、ウクライナから125mm砲用の砲発射式対戦車ミサイルシステムを購入したパキスタン経由で、この技術が中国にもたらされた可能性を示唆している。

自動装填装置はT-72のカセトカ自動装填装置の改良型を採用し、最大発射速度は毎分8発。装填時、砲は4.30度の位置に固定されて弾頭と分離装薬の装填を行った後に水平位置に戻される。そのため、前回の射撃で使用した諸元に基づいて再度射撃を行う事は困難であり、装填の度に目標照準を行う必要性が生じる。これはカセトカ自動装填装置を採用しているT-72と同じ問題点であるが、カセトカ自動装填装置の機構に起因する問題であるため解決は困難である。手動装填も可能であるが、その際には発射速度は毎分1~2発となる。予備砲弾は、車体前方の操縦席右部の砲弾ラックに19発が用意されており、搭載弾数は合計41発。

補助武装としては、砲塔上面に88式12.7mm重機関銃(QJC-88)1挺(弾薬300発)、主砲同軸機関銃として86式7.62mm機関銃1挺(弾薬2,100発)が装備されている。車内には乗員の個人武装として56C式カービンもしくは95式自動小銃が3挺用意されている。

【射撃統制装置】
98式戦車は、中国戦車としては最も高度なFCSや外部視察装置を装備している。これらの技術は西側各国から得られたもの、それをベースにして1980年代から90年代にかけて国内で開発された技術などをふんだんに導入している。

98式の射撃統制システムは、二軸安定式砲スタビライザー、車長用視認/照準装置、砲手用照準装置(赤外線暗視装置+レーザー測遠装置)、砲耳軸傾斜感知装置、砲塔水平角検知装置、横風観測装置、デジタル弾道計算機、操作用液晶パネルなどで構成される。射撃の際には、車体や砲の傾き、横風のデータなどの各種諸元が自動的に弾道計算機に入力される。98/99式の射撃統制装置は、85-IIM式や96式の簡易射撃統制装置よりも高度な能力を有しており、機動中の目標追随能力が大幅に向上したことにより完全な行進間射撃能力を獲得している。砲の俯仰角機構と砲手の照準装置は連動しており、砲口は常に目標との照準線を維持し続けるため、砲手は照準装置の十字線を目標に向けて目標との距離をレーザー測遠装置で計測するだけで、照準状態が維持され射撃が可能となる。ただし、弾道計算機への目標の距離入力は砲手が手動で行う必要があり、この点は今後より自動化を進めるべき点であると指摘される。

内蔵されているレーザー測距器は200~5,000mの範囲で正確に測定する事が可能で、データは自動的に弾道計算コンピュータに入力される。HL60照準器はニ軸式主砲スタビライザー2E28と同調し、弾道計算コンピュータ、環境センサーのデータとリンクして極めて高い初弾命中精度を実現している。高さ2.7mの停止目標に対しては2,500m、動目標に対しては1,300mの距離で高い命中率を誇るとされている。通常は、車長が全周旋回式の視認装置で目標を発見し、車長の指示を受けて砲手が目標の照準を行って射撃をするが、車長用視認装置にもレーザー測遠装置と赤外線暗視装置が組み込まれており、砲手にたよらずに目標の捜索や距離測定が可能。車長用視認装置にも主砲用に使用できるパノラマ式照準器SFIM-HL70が装備されている。これと操砲ハンドルを用いて車長が砲手をオーバーライドして主砲を装填、発射する事が可能。HL70は周囲180度に渡り視界を有しており、レクチル内の倍率は7.5倍である。

98式は、上記の様な優れた射撃統制システムの採用により、自動装填装置の毎分8発の発射速度をフルに活かす事が可能となった。起動中でも停止目標に対して5秒以内、移動目標でも9秒以内に照準・射撃を行う事が可能で、距離2,000mの目標に対する初弾命中率は85%以上。ただし、採用直後はシステムの信頼性に問題が発生したり[6]、125mm砲の諸元の収集が十分ではなく、命中精度が理論値よりも低下する状況も発生して改善が実施されたとの事。

砲手用照準器にはペリスコープ型昼夜兼用システが採用されており、暗視システムは熱線映像式で目標の有効識別距離は昼間2,600m、夜間2.750m。倍率は5倍と11.4倍の切り替え式で、前方20度の範囲の視界を確保している。98式の暗視装置は冷却機構の改善により12時間の連続使用に耐え、予備冷却時間は5分間に過ぎない。ただし、98/99式の暗視装置は作動速度が比較的遅く、装置の騒音も高いという問題点があり、改善が求められる事となった。

この他、砲塔上部には敵味方識別装置や9602型衛星位置測定装置が搭載されている。

【99式戦車への改名と改良型99G式戦車の開発へ】
98式戦車は、当初は極東ソ連軍の戦車部隊との交戦を前提として開発された。しかし、冷戦の終結によるソ連の脅威の消滅による開発インセンティブの低下や、新型戦車に必要とされた高い技術の実現に時間を要した事によりその実用化は目標とされた1990年代後半よりもずれ込む事となった。

なお、98式戦車は、1999年の建国50周年軍事パレードに参加したことを記念して、99式戦車(ZTZ-99)に改める事が決定された。しかし、98/99式は軍事パレード参加を優先して製造を進めたため、実用化に向けては更なる試験と改修が不可欠であった。

そのため、直ちに本格的な量産には移行せず、99式戦車の少数生産を続けながら、爆発反応装甲(ERA)の装備による防御能力の強化や機関出力の増加、改良型の赤外線暗視装置の搭載などを行った改良型の開発が行われる事となった[6]。この改良型は2000年に開発を終了し、
99式改(99G式)戦車として制式化された。99G式の制式名称についてはZTZ-99のままであるが、外国ではZTZ-99の改良型として「99A式/ZTZ-99A」という名称で呼ばれる事もある。

 

(日本周辺国の軍事兵器 livedoor Wikiから引用)

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