トホホおやぢのブログ.....

アンチエイジング、自転車、ダイエット、スイム、ラン等々、徒然なるままを・・・

クロモリは蘇る.....#01

2020-06-03 10:54:00 | スチールバイク

【プロローグ】
 人それぞれの思い入れにもよるが、自転車とは不思議な乗り物だ。感情を少なからず移入して、自転車と向き合う人も少なくない。だから、いろいな思い出を共有した自転車がオシャカになった時は、最愛のペットが死んだ時のように実は悲しい・・・・
 
 かくのたまう僕もそのクチで、特にクロモリフレームに対する思い入れは、カーボンフレームのそれよりも強いと思う。時間を共有する相方(彼女)として、クロモリのバイクに接しているような気がする。一方、カーボンバイクも好きで乗る(特にトライアスロン)けれど、クロモリバイクほど、彼女に対して愛しい気持ちになっていない。いわばloveとlikeの違いかもしれない。例えば、トライアスロンのレース中は僕の未熟さうえかもしれないが、五感に感じる情景に感動して味わう余裕がない。一方サイクリング(クロモリロード)中は、五感で感じたことを愛車に話しかけてる(つぶやいている)自分がいる。特に一人旅の場合は・・・・
 
 つらつら考えるに、レースの制限時間を如何に早くクリアする為の道具としての存在だからかな?と思っている。”好きな道具”であって、”愛おしい彼女”とは思っていないのだ。
 すばらしい情景に出会ったとき、”息をのむ”という言葉のとおり人は無言になり、そしてそれを誰かに伝えたいと思う。そんな時はずっと一緒に走る”彼女”に話しかけてきた。そして、”彼女”もその景色に感動していると感じてきた・・・・・



 様々なアクシデントでその彼女たる自転車が、オシャカになってしまうことがある。でも、いろいろな思い出が詰まった”彼女”ならば蘇らせたいと思うのは、自然な感情だ。
すべての人がそんな感情にはならないと思うけれど、大別するとたぶん3つのパターンだろう。

①オシャカになって、次のバイクが買える!とすぐ切り替えができるタイプ
②オシャカになって、蘇らせる予算と新しい自転車のコストのバランスを考えて、再生を諦めるタイプ。中には壊れたその自転車をなかなか捨てられない人も多いだろう。すごくシンパシーを感じる行動だ・・・・
③オシャカになっても、費用には糸目をつけず、なんとか蘇らせて再生させたいと思うタイプ

 それぞれの人に、いろいろな思いや考え方が有るので、どれも正解だと思う。①や②の皆さんは業界発展維持の為には有難い存在でもある。本来ならば、私も業界人の端くれなので①と②の皆さんを歓迎すると思われがちだが、その昔アクシデントに見舞われ自転車をダメにしたお客様から、「また1台売れますね、うれしいでしょう!?」と言われたときに、気の毒にはおもったけれど、嬉しくはなかったし、正直不愉快だった......
 それはたぶん、その自転車が可哀想だと思った僕の感覚がそんな思いにさせたのかもしれない。交通事故で死んだペットを悲しんでいる本人が、悲しみにまぎれてペットショップに当たり散らすようなものだったのだろうと理解している。だから、きっとそのお客様もそれだけ彼女を愛していたということだ......
 加えて、僕自身がデザインした自転車(Calamita)、輸入にかかわった自転車(Tommasini,Casati,QueenK)は出荷するときは、たぶん父親が娘を嫁に出す感情に似ているかもしれない。荒川サイクリングロード等で、素晴らしい旦那?(お客様)と一緒に楽しくサイクリングしている娘(自転車)を発見した時は、とても幸せな気分だ。だから、娘(自転車)がオシャカになって嬉しい親なんてふつうはいないと思うのだ。
 作り手側の僕自身が、壊れた自転車を再生させたい、お客様もそれを希望するならば、それを実現したいと思う。実はマトモなクロモリバイクならば、かなりの確率で再生して蘇らせることはできる。ただし、購入したコスト以上にかかるかもしれないが、でも沢山の思い出を共有した彼女(自転車)とまた一緒に走ることができるし、これからの思い出を作り続けていくこともできるのだ。アトリエキノピオの安田マサテル氏、マッキサイクルズの植田真貴氏の協力を得て、Calamitaを復活させた経緯を記しておくことにする。

つづく

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