
此処のところやたらと鍵盤楽器の入れ替えをしておりますが、最新の機材を定価で買えるほど裕福ではないのでもっぱらヤフオクなどでの中古オンリーです。
昔から気になっていたシンセなどが手頃な(小遣い程度の)価格で出てると取りあえず買って使ってみます。
で気に入らなければまた売ってしまうのですが、その差額が精々1~2万になるように予め買い取り相場なども調べてから手を出すわけです。
それくらいなら1~2ヶ月リースしてお試しさせてもらった様なもんだし。
先日も5万で落札したものを4万で手放したところです。
やっぱり楽器ですからこればっかりは使ってみないと分からないとこがあるのでしょうがない。
(現行機種なら店頭でさわれますが廃盤になった機種はなかなかさわれないので)
この点ソフトシンセなどはお試し版があったりするので試用してから購入できて良いですよね。
そんなこんなで未だに根強いファンも多い「YAMAHA SY99」行ってみました。
1991年のデビューで、PCM音源とFM音源を持ち合わせたSY77を改良し、隅々までグレードアップした完全プロ仕様のシンセです。
発売当時の定価が42万円!
それが某リサイクルショップで4.2万円(純正HC付)…1/10かぁ
まあ、あの頃のPowerMac G4がもはや1,000円も値が付くかどうかだもんなあ
デジタル機器の宿命でしょうか。
しかしながらこのSY99、YAMAHAのFMシンセ最高傑作とも言われるだけあってよく出来てます。
もちろんMOTIFなどと比べれば波形の容量も段違いに少ないので生楽器のシュミレーションなどではリアルさに欠けますが、やはりこの機種の魅力はFM音源の表現力に尽きます。
明らかにシンセっぽい人工の音なのにプレイヤーがちゃんと楽器として演奏できる。
演奏者のダイナミクスを再現する音源とそれを伝える良質な鍵盤。
YAMAHAはこういった「表現する」という部分を常に大事にしてくれるのでやはり老舗の楽器メーカーだけのことはあるなあと思います。


音色などの評判が高いのは当然知っていましたが、じっくり触ってみると他にもいろいろすばらしいところが見えてきました。
「マスターキーボード機能」ですが4つのゾーンそれぞれ独立してベロシティカーブ、アフタータッチカーブなどの設定が出来ること、そしてその設定したベロシティカーブがちゃんとMIDI出力にも有効であることです。
これとは別にユーティリティ内にもベロシティカーブの設定項目があるのですが、それは内蔵音源に対してしか効かずMIDI出力はされません。なのでやはりMIDI出力のベロシティカーブは変えられないのかと諦めかけていたところでした。
代々YAMAHAのベロシティ出力は押さえ気味で最大110位しか出ないので他のメーカーの音源などはなかなか鳴らしきれなかったのですがマスターモードでベロシティをソフトに設定してやればガッツリベロシティを吐いてくれます。
YAMAHAの音源モジュールとRolandの音源モジュールをスレーブにして鍵盤上でスプリットしたとしても、そのスプリットゾーンごとに違うベロシティカーブで送信できるわけです。
これは気が利いてるぞ、ナイスYAMAHA!


20年選手ですからやはり液晶のバックライトはもはや限界に近く、お決まりなフロッピードライブのベルト切れの状態であります。
しかし全体的にはかなりの美品でスイッチやダイアルの劣化は全く無く、ライブなどに持ち出したであろうスリ傷等はほとんど見られません。
大切に使われて来たのがよくわかります。
マスター鍵盤としてもかなり魅力が出て来たし、こいつは噛めば噛む程いい味を出してくれそうな予感がします。