心を許した友は、
あの少年Aだった。
上映時間 128分
原作 薬丸岳 『友罪』(集英社文庫刊)
脚本:監督 瀬々敬久
出演 生田斗真/瑛太/夏帆/山本美月/富田靖子/奥野瑛太/飯田芳/忍成修吾/村上淳/渡辺真起子/光石研/佐藤浩市
ジャーナリストの夢に破れ、寮のある町工場に流れ着いた青年、益田。彼はそこで同じ日に入った鈴木という男と出会う。
最初は他人との関わりを拒んでいた鈴木だったが、次第に2人は友情を育んでいく。一方で鈴木は、元恋人から逃げている元AV女優の美代子とひょんなことから知り合うようになる。そんな中、近くの町で児童殺害事件が起こったのをきっかけに、17年前に日本中を震撼させた凶悪事件について調べ直した益田は、当時14歳で、今はすでに出所している犯人・少年Aの写真を見つけ、そこに鈴木の面影を見て愕然とするのだったが…。
生田斗真くんも瑛太も、佐藤浩市さんも、
キャストは皆素晴らしく、誰もに心を寄せて見守った2時間8分!
誰にも言えない少年の日の罪を背負った2人の青年が、ひっそりと出会う。
うつむき、他人との接触を拒んで虚しく過ごす2人の日常と、
同時に描かれるのは、息子が少年時代に犯した罪を償い続ける一人の父親の姿。
そして、少年犯罪と向き合てきたために、娘を失いそうな医療少年院の女性職員と、
軽率に足を踏み入れた転落の過去から逃れて、ひっそり生きる元AV女優。
人は一人では生きていけない――。どこかで誰かと関わってしまう。
ヒトとのかかわりを避けていた鈴木も、また彼女たちとの接点をもってしまう....。
運命的に出会った益田と鈴木。
ひと時の友情に、心は緩んでいくが、、、
少年犯罪は、事件直後にはよくその犯人の心理分析がなされるけれど、
本作は「ナゼそれが起こったか」ではなく、「その後、どう生きていくのか」を描いている。
物語が進むにつれ、度々の暴力にも無抵抗な鈴木の姿をみせつけられ、
鈴木擁護に傾く観客の心に、歯止めをかける佐藤浩市演じる加害者の父親の姿。
彼の謝罪を頑として受け入れない被害者遺族。。。
17年もの間、幼い我が子を奪われた喪失感と怒りが消えない遺族に責められ続け、
一身にその罪を背負い、頭を下げ続ける、、家族を解散した男の生きざま。。。
息子の恋人の妊娠に、激しい非難を浴びせる彼に向けられた嫁の一言。
「犯罪を犯した人は、幸せになってはいけないんですか!」と、
青春も知らずに失われた命を想って、ココロはせめぎ遭います。
「一生をかけて罪を償う」とはどういうことなのか?
深く考えさせられる作品でした。