「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

韓国:務安空港での旅客機事故と「2009年ハドソン川の奇跡」<202412・30

2025-01-13 11:12:19 | 中国と東アジア

2024年12月29日、韓国の全羅南道の務安空港で旅客機のトラブルがあり胴体着陸を試みましたが、失敗して壁面に激突して機体は壊れ炎上しました。179人が死亡して2人だけ救出されるという痛ましい事故が起きました。
哀悼の意を表しお悔やみ申し上げます。

事故の経緯は今後の調査で明らかにされると思います。
今分かっているところではバードストライク(鳥の衝突)で右エンジンは炎が見えて爆発音が聞こえたと言うことですから片側エンジンは故障していたと思います。2回目の着陸に入ったところで車輪が作動しなかったようで瞬間的に胴体着陸を試みたようです。
機体はコントロールを失い滑走路を外れて、壁に激突し機体が破壊され炎上して、火の回りが早く乗客は脱出できなかったようです。千切れた機体尾部に残っていた客室乗務員2名だけが救出されたようでした。機体が高速で地上滑走中ですから出来ることは何もありませんでした。
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ウイキペデイア【USエアウエイズ1549便不時着水事故】

https://ja.wikipedia.org/wiki/US%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%BA1549%E4%BE%BF%E4%B8%8D%E6%99%82%E7%9D%80%E6%B0%B4%E4%BA%8B%E6%95%85
私が直ぐ思い出したのが、2009年1月15日米NYで起きたハドソン川旅客機不時着(水)事故です。
この時は、更に条件が悪くバードストライクで両エンジンが故障し、惰性で飛んでいる間に着陸しなければなりませんでした。
この時も最初は、空港に戻ることを選択しました。しかし状況を判断した結果、空港に戻るのは無理だとし、ハドソン川への不時着を即断しました。トラブル発生から着水まで約3分です。ウイキペデイアの略図を見ると分かりますが、エンジンが停止ている機体は、このコースを飛ばないと地面に激突していたと思います。
機長は、57歳の元米空軍大尉のチェズレイ・サレンバーガー氏です。

旅客機は時速270kmで水面に接水し、無事不時着水に成功しました。
水の上だから助かったのではありません。この速度では衝撃は地面も水面も同じです。
操作を間違えれば「墜落」になります。墜落になれば助かる可能性は、ほぼありません。
墜落と不時着の違いは、機体のコントロールが出来ていたかどうかです。コントロールを失えば撃墜。コントロールを保って接地(接水)すれば不時着です。
ハドソン川のケースは、コントロールを失わず接水していますので、不時着です。
その後、水面の摩擦で停止して乗客乗務員は、無事機外に脱出することに成功して被害者はありませんでした。
これは機長のお手柄です。元米空軍の熟練パイロットだから瞬間的に正しい方法を選択し、難しい不時着を成功させたと言えます。
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実は、務安空港の周囲は、海だらけです。
そして片側とは言えエンジンが作動していました。すぐ近くの海に飛行して不時着(水)が出来る時間的な余裕は十分ありました。ハドソン川のケースとほぼ同じと言えます。
海であれば少々どっちにずれようと周囲に障害物はありません。
飛行機が停止するまで海面を惰性で滑走すると思います。(ハドソン川では、そうなっています)

今回のケースでは、2回目の着陸の時、車輪が出ていないようなので異常を示すランプが点灯していたと思います。着陸を諦めて、もう一度上空に戻るべきでした。高度を取って機体を安定させて、それから考えれば、あるいは海に着水することを思いついたかもしれません。ハドソン川のケースよりは、時間的な余裕はかなりあると思います。飛行機は飛んでいれば、とりあえず安全だと言うことを思い出すべきでした。片側エンジンが動いていれば、かなりの時間飛んでいられます。
そう考えて決断すれば、多くの乗客と乗務員は助かった可能性があります。
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機長が悪いと言っている分けではありません。
危機管理の問題を言っています。
バードストライクは、かなりの数が起きています。起きるのは、ほとんど離着陸時です。
離着陸の時、バードストライクでエンジン停止や機体の不具合(車輪が出ないなど)のケースを想定して、シュミレーションを行って準備しているかどうかの話です。これは航空会社が行うべきことだと思います。

そのような危機管理が、されていたのかどうか❓
また、日本の航空会社では、どうされているか❓
凄く、気になります。

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産経新聞 2024・12・30
『空港、鳥衝突の可能性大 韓国機事故、調査本格化』

記事によると韓国の空港のバードストライク(鳥との衝突)発生確率
金浦空港0・018%、済州空港0・013%、務安空港0・09%

そもそもバードストライクの発生確率が高い空港です。
鳥を追い払う係は4人で、主要空港と比較すると手薄。
空港は、渡り鳥が飛来する水辺に近い。

空港施設管理者の問題もあるようです。
しかし、航空会社やパイロットにバードストライクも当然ですが、離着陸時のアクシデント発生に対する危機管理対策が、より求められると思います。今回の事故では、空港ではなく海での不時着を選択できていた可能性が大きいからです。

※国土交通省のデータを見ると、羽田空港は日本国内では飛びぬけてバードストライクが多く発生しています。
やはり水辺にあるから渡り鳥の飛来が多いのでしょうね。対策は色々しているようですが限界があるようです。
だから確率は低くても、バードストライクは必ず起きると言うことです。
幸運にも羽田空港では、これまでは鳥がエンジンに飛び込んでエンジン停止になる事故は起きていないと言うことのようです。
「起きた時どうするか」の対応マニュアルは、準備しておくべきでしょうね。



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