東京新聞 2025年1月2日
『「世界一幸福な国」の地下に ロシアと国境を接するフィンランド 有事から72時間で大変身』
https://www.tokyo-np.co.jp/article/376031
フィンランドの国防は、長い年月の間に考えられ準備された来たものです。フィンランドに限らず東西冷戦の時代は、欧米の国では地下シェルターの建設が進められました。今、ウクライナ紛争でウクライナ軍が頑強に戦えるのは、大抵の建物の地下に地下室や地下シェルターが、設置されているからです。大きなものは旧ソ連時代に建設されました。それが皮肉にもロシア軍の攻撃に対して効果を発揮しています。
つまり武器を揃えるばかりが国防では、ないと言うことです。まず市民が生き残らなければ戦争などできません。エネルギーや生産設備もそうです。弾薬、ミサイル、砲弾の生産設備も必要です。武器工場が地上に有ったら直ぐに破壊されます。ウクライナ紛争を見れば分るでしょう。全部、自国ではほとんど生産できません。よくそんなことで無責任に戦争を始めたものだと思います。原子力以外の発電所は、ほとんど破壊され国外から電気を購入してやっと最低限の電気を供給しています。ヨーロッパは外国から電気を買えますが、日本は出来ません。電気がなくなったら生産も出来ません。企業活動も出来ません。生活すら出来ません。
戦闘機やトマホーク、護衛艦は非常に高価ですし数も限られます。本当に戦争が始まれば、それらはどんどん失われます。例えば中国を考えるなら、武器や兵士の数は圧倒的に中国が勝っています。太平洋戦争と同じです。圧倒的な物量にはかないません。
その土地、その国によって防衛政策は変わります。日本四方、海に囲まれています。天然の障壁があります。それを利用した防衛を考えるべきでしょうね。
その意味でも国土の地下化は、大切なことです。すべてが地上にむき出しでは、戦争など土台無理です。兵器に金をかけるより重要施設の地下化やシェルター建設に金をかけるべきでしょうね。
台湾がアメリカを戦車を何十台か買いました。あの狭い国土に戦車があろうと役に立つはずがないでしょう❓
日本だって同じです。敵国の戦車が上陸した時点で、既に負けています。台湾が中国の軍事侵攻から自国を守るのは、そもそも無理です。そうなれば軍事侵攻を招き寄せない外交が必要です。台湾のやっていることを見ると正反対です。ウクライナと同じですね❓軍事侵攻を、わざわざ招き寄せる外交を行っています。
それで将来とも無事でいられると思うなら、大バカ者としか言いようがありません。
だから!
「台湾有事は、バカが招き寄せるもの⇒関わらず放置しろ!」
これが日本の外交政策でなければ、なりません。
「台湾有事は日本の有事」
ウクライナ紛争に自衛隊を派遣して加担しようとは思わないでしょう❓
それと同じです。そうではなく、中国の軍事介入を招き寄せないように台湾が外交政策を改めるよう働きかけるべきです。
有事へのある程度の備えは必要でしょう。しかし、それで有事が全部防げると思ったら大間違いです。
有事を招き寄せない外交、周辺諸国が紛争を起こさないような外交が、一番の国防だと知るべきです。
(2)フィンランドのNATO加盟
これがフィンランドの将来にとって、良いものか悪いものかは分かりません。
第2次世界大戦後、フィンランドは中立政策を取ってきました。中立政策の大切さを全く理解していないようです。例えばジョージアなどは、中立政策すら親ロシアだと非難されEUの内政干渉を受けています。新しく中立政策を取ること自体が非常に難しいことなのです。だから、それまで中立政策を取ってきた国には既得権があると言うことです。周辺諸国もそれを認めています。
そしてヨーロッパの主要交通路は、ロシア~ウクライナ~ポーランド~ドイツです。フィンランドの位置する北欧は主要交通路から外れており大国が軍事侵略する可能性は、少ないと言えます。第2次大戦時、スターリンがフィンランドで欲しかったのはナチスドイツとの戦争に備えて、フィンランド南部に基地を確保することです。特段フィンランド全体が欲しかった訳ではなかったと思います。だから基地の提供などの話し合いにより戦争を回避する道はあったかもしれません。そしてスターリンのように大軍をフィンランドに投入するような馬鹿げた作戦を取るケースは少ないと思います。フィンランドとの戦争で大きな消耗を受けたソ連軍は、ナチスドイツとの初戦でボロ負けしました。フィンランド戦をやらなければ、もっとマシな戦いが出来たはずです。それを戦訓としているロシアが、フィンランドに全力投球することは、まずないでしょう。
フィンランドが長らく中立であったからロシアもフィンランドに対しては、ほぼノーマークだったと思います。フィンランドの方も、それほど軍事的にロシアを気にする必要がないと言うことです。
NATOに加盟してしまえば、どうなります❓
ほぼ中立地帯でノーマークだった1340kmの長大なロシアとの国境線が、全部NATOとロシアの最前線になります。
ノーマークと最前線は、正反対です。わざわざロシアとのリスクの高い長大な国境線を作り出しました。
その分、フィンランドは防衛拠点を作ったり武器を増やして備えなければなりません。将来に渡って大きな軍事費の負担をわざわざ自分で作り出しました。フィンランドは、その増えた国防費と防衛施設のランニングコストを負担し続けることになります。
それがフィンランドの未来に有利だとは、言えないような気がしますが❓
更には、産業面の影響です。
戦争前は、フィンランドのノキアとスウエーデンのエリクソンが、ロシアの通信網のメンテナンスと近代化を請け負っていました。
どうしてフィンランドとスウエーデンかと言うと両方とも中立国だからです。中立であると言うことは、ビジネスの面でも恩恵がある場合があります。
その当時は中立であったのに、ノキアとエリクソンはさっさとロシアビジネスから撤退しました。撤退する必要があったのかは疑問です。撤退したから全部を失いました。
その後を埋めたのは、中国の企業です。ノキアとエリクソンの仕事は、全部中国企業が受け継ぐことになりました。もう二度とノキアとエリクソンには戻らないと思います。
それ以外でもフィンランドは、戦争前はロシアとの貿易もありましたし、ロシアの観光客がフィンランドに旅行していました。全部一式無くなっているでしょう。
ロシア貿易も戦後も元には、戻らないと思います。
☆このような事を全部、勘案してフィンランドのNATO加盟がフィンランドにとってプラスなのかマイナスなのかが判定できます。どっちだと思いますか❓
単純にNATO加盟、万歳と思うのは頭の足りない人です。
それこそ「フィンランドの国益」を考えてみるべきでしょうね❓
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