産経新聞
2024・12・02
『ロシア、タリバンをテロ指定解除へ 反欧米陣営取り込み 国際・国内情勢変化背景に』
https://www.sankei.com/article/20241202-VUPXHHQNT5KUDGT2AYBPQJA2XM/
プロパガンだと悪意に満ちた記事タイトルです。
日本人は、こうありたくないものだとシミジミ思います。
ペシャワール会(2009年5月)
『ここにこそ動かぬ平和がある』
『用水路は現地活動25年の記念碑』
https://www.peshawar-pms.com/kaiho/99naka_tokubetsu.html
共同通信
2024年12月4日
『ペシャワール会が通水式 アフガン、建設中の用水路』
https://nordot.app/1236786008364679190?c=302675738515047521
そもそもアフガンが、なぜ今のような歴史の経緯を辿らなければ、ならなかったのか❓
<ウイキペデイア>
【アフガニスタン戦争(1978年~1989年)】 旧ソ連のアフガン侵攻
【アフガン紛争(2001年~2021年)】NATOのアフガン侵攻
旧ソ連との長い戦争、その後NATO(アメリカ)の軍事侵攻と長い占領と内戦期間。
世界の2大・大国が、アフガンを荒らしまわったと言っていいでしょう。
2021年アメリカが撤退して、やっと40年以上に及ぶ戦乱の時代が終わりました。
これを見て、アフガンを気の毒だと思わない人は、人間ではないと思います。
最初にアフガンに侵攻した旧ソ連の後継国であるロシアは、本来ならアフガン復興を助ける義務があると思います。
アメリカやアフガン侵攻に参加したヨーロッパも同じです。
ところが、タリバンをテロ組織に指定して国際社会への復帰を妨害しています。
おかしいでしょう❓
これほどの被害を被った歴史の被害者を、テロ組織として差別して排除するのは国際社会の犯罪だと言えます。
ロシアは、テロ組織に指定しているのなら解除して、復興を援助して当然だと思います。
最初にあげた記事タイトルを見てください。
旧式の冷戦構造の薄っぺらな正義感とプロパガンダです。
テロ組織は、アルカイダでありその後発生したISIS(イスラム過激派)です。
タリバンは、単にアフガンの政治勢力であるに過ぎません。
たまたまアラブ義勇兵として対ソ連戦争に援軍として参加した兵士たちが、アフガン国内に残っていてアルカイダを結成して不幸なテロ事件が起きました。
タリバンの立場を考えるなら、アラブ義勇兵としてともにソ連と戦ってくれた、アルカイダを追い出すわけにも、アメリカに差し出すわけにも行きません。
なぜ、アルカイダがアメリカを憎むようになったかは、アメリカがソ連との戦いでアラブ義勇兵を便利遣いして、戦争が終わったらボロ雑巾のように放り出したからです。それが積もり積もってアルカイダのアメリカでのテロになりました。
このような歴史を顧みるならロシアがタリバンのテロ指定を解除するのは当然のことであり、アフガン復興の援助をするべきだと思います。
(2)タリバンの生い立ち
旧ソ連との戦争は、アフガンにとって過酷すぎるものであり、「戦後は一時的に国民の半分が14歳以下になった」と言われています。何もかもすべて失われました。大量の難民も発生し(400万人以上)多くは、隣国のパキスタンに逃げました。
その後のNATOの軍事侵攻により、500万人にまで膨れ上がりました。これはパキスタンに逃れた人々だけの数字です。
パキスタンも貧しい国です。
アフガン難民に出来ることは食糧を与えることだけだったと思います。
それを気の毒に思った宗教関係者が神学校を作りました。粗末なものであろうと思います。
難民の子供たちに字や計算、あるいは一般的なことを教えるには、これしか方法がなかったのであろうと思います。
神学校ですからイスラム教も教えます。その教義は、イスラム原理主義でした。
こうして大人になった子供たちは、タリバンとなり当時内戦が続いていたアフガンに帰還して祖国統一戦争に参加します。
この当時は、アフガン各地に軍閥が割拠し地方地方で恣意的な政治を行っていました。
タリバンは、軍閥との戦いに勝利しながらアフガンでは大きな勢力となっていきます。
最後に残ったのが、北部同盟でした。
全国統一寸前にアルカイダが、アメリカでテロ事件を起こしました。
その結果、アメリカの軍事侵攻を受けて再び、戦争がはじまりました。
やっと終わったのが、2021年です。
タリバンの多くは、無学であり字が読めるものはましな方でしょう。
こんなタリバンに今の国際社会での常識的な政治を求めるのは、土台無理だと分かると思います。
しかし、40年以上戦乱の続いたアフガンに今何より必要なのは、統一政府と国内の平和です。
外から民主的でないとか女性を抑圧しているとか言うのは簡単です。
しかし、それをすぐに実行できるかと言うと100%無理です。
まだ古い部族社会の残るアフガンには、まだ近代国家になるには辿らなければならない長い道程があります。
国内に秩序を取り戻し、最低限でもインフラを復興しせめて農業だけでも出来るようにしなければ、なりません。
教育もそうです。地方に行けば学校すらないでしょう。
これを一式全部、再建するのはどれだけ大変なことか、考えればわかると思います。
お隣の韓国
軍事独裁政権から民政政権に移行したのが、1987年です。
軍事クーデターが1961年です。
韓国のようにそれなりに社会制度もあり教育のある国ですら、軍政から民政に移行するまで26年かかりました。
日本の例
明治維新が1868年、その後自由民権運動が始まりました。
日本の最初の(男子)普通選挙、1925年
47年かかっています。
今のアフガンより明治維新時代の日本の方が、はるかに安定して教育水準が高いです。
それでも、普通選挙が始まるまでに47年かかったのです。
40年以上、戦争が続き国土が破壊され何もかも失われたアフガンでも、いわゆる普通の社会が生まれるまでには長い年月が必要だと思います。
戦争しか知らないタリバンが、これからアフガンの国造りをしなければなりません。
少し手助けをしてあげながら、長い目で見守るしかないでしょう❓
と言うような配慮は、西側には一切ありません。
ひたすら差別して排除するばかりです。
自分たちがアフガンで行った「極悪非道」を顧みて、深く反省するべきです。
そうすれば、どうしたら良いかが分るでしょう。