CNN 2024・12・11
『米国務長官、シリア人に選ばれた政府を指示 「四つの原則守れば」』
アメリカがシリア新政府に言及したのは、これが初めてです。
新政府の予想される内容を調査していたのでしょうね。
これまでのアメリカの認識は、シャーム解放機構はテロ組織でありテロ組織に指定しています。
と言って現実に政権の主体をシャーム解放機構が担う以上、アメリカとしても対応せざるを得ません。
アメリカのシリアにおける最大の目的は、IS「イスラム国」勢力の抑え込みです。
だからアサド政権であろうと新政権であろうとアメリカに、その部分で協力する限りはアメリカも支持するでしょう。
問題は、新政府の母体であるシャーム解放機構の政策が見えないことです。
アメリカのみならずほとんどの周辺国は、議会と選挙を基本とする政府を望んでいると思います。
宗教独裁が始まれば、アサド政権と大した違いはありません。
イスラム過激派的政治は、ご免です!と言うのは、どこの国も同じだと思います。
国連安保理決議2254号に則った政治を要求しています。
①少数派の権利の完全な尊重
②必要とする全ての人への人道支援の流入の促進
③シリアがテロの拠点として利用されたり近隣諸国に脅威を与えたりすることの阻止
④化学兵器や細菌兵器の備蓄の確保と安全な破壊の保証
アサド政権は、大体これと正反対のことをしてきました。
一番、ネックになりそうなのが①です。
他の宗教や少数民族への差別と弾圧でしょう。
この条件を満たせば、アメリカは新政府を「承認し全面的に支持する」とブリケン長官が公式に発表しました。
つまりアメリカが、新シリア政府が国際社会に復帰する道を開いたと言えます。
後は、シャーム解放機構のジャウラニ代表が、何を考えどうするかです。
外国の干渉は排除したいでしょうがアメリカの支持があるのと、ないのとでは全然政権の安定度も今後のシリア復興事業でも大きな違いが出来ます。また、クルド人武装勢力と折り合うにはアメリカの仲介が必要でしょう。クルド人とどう折り合うかが、一番難しいと思います。クルド人は自治権を要求するでしょうね❓
そして、それに必ずトルコが反対すると思います。やっぱりアメリカの仲介が必要です。
旧政府から政権を委譲した前首相のジャラリ氏は、「自由選挙を行ってほしい」と言っていました。
シリアが普通の国になれるのか❓それとも宗教色の強い独裁的国家になるのか❓
シャーム解放機構は、支配地であったイドリブ県で地方行政の経験があります。
とりあえず新政府の首相には、救国政府(地方政府)の行政長官のムハンマド・バシル氏が任命されました。
その後、どうなるのかは今後にならないと分かりません。