「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

シリア・レバノン国境の風景、出ていく人と戻る人 中東を不安定にする国<2024・12・12

2025-01-12 08:38:00 | アフリカと中東

BBC 動画 2024年12月11日
(1)『シリア国境には出る人と戻る人 アサド支持者は軍服を脱ぎ捨て』
https://www.bbc.com/japanese/articles/c140jmvjykyo

記事 2024年12月12日
(2)『反佐々土勢力、前大統領の父の墓に放火 シリア首都には活気戻る』
https://www.bbc.com/japanese/articles/cn54x722qz7o

(1)の動画は、BBC記者がシリア・レバノン国境を取材したビデオです。
内戦やアサド政権の迫害や弾圧を逃れて避難していた人々は、帰国を急いでいます。一刻も早く家に帰りたいのでしょうね。その一方で出国を急ぐ人もいます。アサド政権に協力して報復を予告されている人々です。
街を弾圧支配していたシリア軍の兵士たちの中には軍服を脱ぎ捨てて逃亡したものもいます。
こんな兵士は、結構各地にいるのではないか・と思います。

(2)の記事は、アサド一族の故郷のラタキア県カルダハです。
一応、ラタキア県は新政府に従うことを約束しました。
しかし、先代アサドの墓は破壊されました。これがシリアの恐怖政治の創始者ですから墓を破壊されるくらいは、仕方ないでしょう。ラタキア県で報復の大量虐殺が行われないだけ、マシと言えます。

アサド家の弾圧支配の原因が、ここにあります。
一応スンニ派に分類されますが、アラウイ派(宗派名)は特殊な宗教です。ほぼ信者は、このラタキア県に集中しています。人口がシリア人口の約10%の少数派部族です。この少数派部族が、90%を支配する構図が生まれました。恐怖による弾圧支配が始まりました。アサド一族の弾圧支配は、ラタキア県のアラウイ派の権力を守るためでもありました。当然、政府や軍などで支配階級になっているのは、この部族の出身者が多いと思います。

今のところ懸念された大規模な混乱は起きていないようです、首都ダマスカスでも最初の日は、略奪が起きたようですが、市内にシャーム解放機構の兵士が治安維持で展開すると治まったようです。大規模な報復行為も今のところはニュースになっていません。
ただし、これは都市部でのことであり地方や農村部での様子は不明です。

クルド系組織が旧政府軍が撤退した後、石油資源の豊富な東部の都市デリゾールを占拠しました。
新政府とクルド系の衝突を心配しましたが、クルド系は新政府軍に街の支配を引き渡したようです。
と言うことは、クルド系は新政府と武力衝突する意思は今のところないようです。話し合いで折り合いが付くかもしれません。

問題はトルコ系とクルド系で、これは北部の方で散発的な衝突が起きているようです。
クルド人とトルコは、憎み合っていますからどうしても多少のことは起きてしまいます。

アメリカ軍は、ISの拠点を空爆で叩きまくっています。
旧政府軍の兵士がISに合流してしまえば、厄介なことになるからです。
以前、イスラム国が急激に支配地を拡大したのは元のISの勢力に世界中から集まったイスラム過激派とほとんど犯罪者のような食いっぱぐれのシリア人が大勢合流したからです。一気に人数的に大勢力に膨れ上がってしまいました。そうならないように芽のうちに叩いてしまおう・と言うことです。

更にどこにいるのか不明な危険分子がいます。旧アサド政権は、各国からやってきたイスラム過激派を民兵組織にして利用していました。前に日記に書いたことがありますが、アフガン・パキスタン・ウイグル・イラク・パレスチナなどです。イスラム過激派にはISに合流したグループと政府軍に合流したグループがいます。
知れば知るほどシリア内戦のハチャメチャさ加減が分かると思います。

だから、このような有象無象のイスラム過激派に比べると、アルカイダ系から発展してきたシャーム解放機構は正義の味方と言えます。他が極悪の犯罪者みたいな集団が多いからです。

このようなシリアを、これから統一して安定した政権を作り統治していくのですから、新政府は本当に大変だと思います。
大体、シリアでは民主主義を主張するのは犯罪者集団だと思えば、それほど間違いはありません。

(3)中東を不安定にする国
資料
『ガザ問題で報じられていないこと』 2023年11月30日
https://www.jfir.or.jp/studygroup_article/10209/

イスラエルとハマスの闘争は、今回触れません。
問題は、イランです。
イランの国是
「ホメイニ師はパレスチナにおけるシオニスト政権の樹立を悪魔の行為と批判した」
イラン憲法前文 「軍隊」の項目
「イラン軍は単に自国を防御するだけでなく、全世界で聖戦を戦い抜く」
これが、イランが国外でテロまがいの組織を支援する根拠です。
ホメイニ師とは、1979年イスラム革命の指導者です。

イスラエルの撲滅を憲法に規定し国是としているわけですからイスラエルがある限り、イスラエルとの戦いを続けると言うことです。イエメンの過激派のフーシ派を支援するのもレバノンの過激派ヒズボラを支援するのも、これが根拠です。シリア内戦でアサド政権を強力に支援したのは、イラン~イラク~シリア~レバノン=ヒズボラの陸の回廊を建設するためです。
イランがある限り、イスラエルがある限り中東には平和は訪れません。

イスラエルが、ガザ紛争ではパレスチナ人を大量虐殺して阿修羅のように振舞っています。
しかし、イスラエルとしてはイランの手先であるハマスを撲滅する決意をしているようです。

こうやって見てくると、やっぱりイランがイスラエル撲滅の国是を変えるべきだと思います。
イスラエルをこの世から消し去るという事ですから、これはいくら何でもメチャクチャでしょう❓

イランが、こうであるから欧米はイスラム過激派を極端に警戒するわけです。
どっちもどっちの部分はありますが、「撲滅」を国家目標に掲げては、他の国が支持することはないでしょうね。


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