「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

クピャンスク方面の戦い、ロシア軍がオスキル川を渡り進撃中<ウクライナ紛争2025・01・12

2025-01-13 21:35:11 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

航空万能論 2025・01・10
『ロシア軍のオスキル川渡河、ドヴォリチナ市内に定着し足場を拡大』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-cross-the-oskil-river-establish-themselves-in-dvorychina-and-expand-their-foothold/

クピャンスク方面の戦いは、オスキル川の東岸が中心です。
南に下った方では、ロシア軍がかなり占領地を拡大しています。
ロシア軍のオスキル河渡作戦は、先月あたりから始まったと思います。最初のうちは、ウクライナ軍が西岸に渡ったロシア軍を追い払っていました。ところが2か所で渡ったロシア軍は、南の方で残ってしまいました。両方は、追い払えなかったようです。
クピャンスクの北10km少々の地点で足場を築きました。そのすぐ西のドヴォリチナDvorichnaを攻撃中です。市街地がほとんど戦闘地域に入り、かなり危い状況です。更にその南に少し離れた地点でも渡河しており、こちらも足場を拡大中です。すぐ西の集落のサバドネZapadneまで占領されると、多分ロシア軍はオスキル川西岸への進出に成功します。

今、ロシア軍はクピャンスク市街をオスキル川の東から攻めていますが、攻めあぐねています。北の方で川を渡ってしまうと、そのまま南下してクピャンスク市街を攻撃できます。こうなると、これまでとはロシア軍が攻撃していた方向とは違いますから、ウクライナ軍は、守りにくくなります。
ウクライナ軍が西岸の方に兵力を集めると、今度は東岸のロシア軍が攻勢を強めます。挟撃されるのは、どんな場合であろうと不利になります。このままだと、そうなります。

ロシア軍が川を渡った地域の風景。
AFPBB
『ロシア軍、ウクライナ東部で渡河成功・橋頭保構築 当局者』
2025年1月10日 12:11 発信地:キーウ/ウクライナ [ ウクライナ ロシア・CIS ]
https://www.afpbb.com/articles/-/3557535?cx_part=top_category&cx_position=2

一番上の写真がその付近です。橋が見えますから、この付近が渡河地点です。見てわかる通り、それほど広い川ではありませんから、ウクライナ軍がすぐに阻止しないと川を渡られてしまいます。
※AFPが速報に近い形で報道しているのも、微妙な雰囲気の変化を感じます。それは、また今度書きます。

問題は、それ以前はウクライナ軍はロシア軍が川を渡るのを阻止してきました。
何故、最近阻止できなくなったのか❓
東部戦線では、ドローンが不足していて監視能力が大幅に低下したからであろうと思います。
どうして、東部戦線でドローンが不足してきたのか❓
11月ごろからウクライナ軍は、中距離ミサイルや航続距離の長いドローンでロシア領の越境攻撃を激化させています。当然、中・大型のドローンを増産しているでしょう。そうなると前線で必須の小型ドローンの生産を減らさなくては、なりません。小型ドローンが不足するという流れです。不足している小型ドローンは、クルスク戦線に優先的に供給されます。だから、ただでさえ東部戦線で不足していた小型ドローンが、枯渇に近いような不足が発生します。こうなれば監視用のドローンがなくなります。監視できないからロシア軍の行動を把握できないエリアも出てきます。優先度が低い拠点から遠く離れたエリアの監視が出来ません。
AFPの写真を見れば分かりますが、監視用のドローンがなければロシア軍の行動を監視することは、事実上無理です。
だから、以前は守れていたエリアも守れません。
それが、オスキル川でロシア軍が川を渡ることに成功した理由だろうと思います。

つまり、キエフ政府とウクライナ国防省がドローンの生産計画を中・大型ドローン生産優先に変更したことが、東部戦線全体に大きな負担をかけています。前線での戦いを軽視して、ロシア領の越境攻撃を優先するのは、普通はあり得ないことです。あり得ないことを平気でやるのが、キエフ政府(ゼレンスキー)と国防省です。

こうして、そもそも劣勢のウクライナ軍を更に劣勢に追い込んでいるのは、キエフ政府と国防省の大きな判断ミスによります。戦争に勝つことを、「真面目」に考えているのかどうか疑問です。負けるためなら理に適っています。

2025・01・07
『ロシア軍がウクライナ東部で大きく前進、ゼレベツ川西岸にも上陸』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-forces-make-major-advances-in-eastern-ukraine-landing-on-west-bank-of-zherebets-river/

略図の2枚目です。リマンを守っているのはゼレベツ川東岸にあるトルスケです。北の方でロシア軍がゼレベツ川を渡ってしまえば、トルスケの要塞を回避してしまいます。北からリマンを直接攻撃することが、可能になります。今の時点では、まだ橋頭保を作ったところですが、ここにしっかり足場を築かれるとロシア軍の攻める方向が、東と北の2か所に増えます。兵力不足のウクライナ軍は、その分不利になります。ここでロシア軍が川を渡ったのは、初めてだと思います。
それが可能になったのは、やはり監視用ドローンの不足であろうと思います。

キエフ政府と国防省のドローン生産の変更の誤りは、東部戦線全体で既に出ていると思います。

トレツクのウクライナ軍守備部隊は、急激にロシア軍の進出を許して、ほぼ市街地全域が戦闘地域に入りました。おそらくロシア軍が市街地全部を制圧するのは、数日のうちだろうと思います。

チャシブ・ヤールでもロシア軍は、市街地の半分を制圧して更に攻撃中です。ロシア側RYBARの報告では市街地の残り半分もロシア軍が制圧したような情報もあるようです。

クピャンスクとリマンでのロシア軍の渡川作戦の成功。
重要要塞のクラホベの陥落。
やはり激戦中だったトレツクとチャシブ・ヤールが陥落寸前。
あるいは、クルスクでのロシア軍の待ち伏せ攻撃と大規模な反撃作戦。

これらは偶然に起こったのではなく前線での小型ドローン不足が招いたとしたなら、ウクライナ軍が今やっている大規模なロシア領攻撃の代償であることになります。
キエフ政府(ゼレンスキー)のやっていることは、こんな事ばかりです。
だから、ウクライナ軍は劣勢から敗勢に近いほど戦況が悪化しました。
最早、膠着状態に戻すのさえ不可能です。

ウクライナ軍将兵の気持ちを思うと、言うべき言葉もありません。

※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑦
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。